日本の心・さいき

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将来の医療アラカルト(イギリス型:4/10)



 日本の場合は、皆保険制度で、皆、(個室料など、保険の効かないケースもあるが)同じ様に等しく医療を受けることができる。大学や県病を受診しようと思えば、その日に受診することも可能だ。それに、アチコチ行って、セカンドオピニオン、更には、サードオピニオンも受けることができる。
 治療側の医師も、人を見て、医療を変えることは、基本的にない(医療訴訟になりそうなケースだと、検査が多くなることも考えれるが・・・?!)。それに、小児科では、深夜の場合でも、乳幼児の医療費が無料のケースが多いし・・・。
 これって、海外の多くの国から見れば、異常なことなのだ。日本の財政事情から、これからもこんな感じの医療が長く続けられるとはとても思えない。
 医療制度のタイプを、大きく、イギリス型、アメリカ型、北欧型の3つに分けてみた。
 現在、医師不足は、何故か、かってイギリスの統治下にあった国に多い。カナダ、オーストラリア、ニュージ−ランド、そして、アメリカ。
 イギリスでは、医療費の患者負担はゼロである。イギリスの多くの病院は、国営である。病院勤務医も開業医も、実質的には、国家公務員と同じ感じになっている。開業医は、GP(一般医)と言われる。イギリス国民は、必ず、居住地域のGPの中から一人を選んで、自分のかかりつけ医にすることが義務付けられている。自分が指名したGP以外の医師の診察を受けることは、契約期間の間は、許されていないし、いきなり病院に行くことも許されていない。まず、GPが診察して、病院の専門医の受診が必要と判断した場合にのみ、紹介状を書いてくれる。
 もちろん、それとは別に、民間病院もあり、自由診療をしている開業医もいる。そこでは、アメリカに次いで高額で、全額個人負担となる。入院すると、寝ているだけで1日10万円以上もとられる。病気の種類によっては、1日数10万円〜100万円以上にもなってしまう。この恩恵に預かれるのは、極々一部の富裕層に限られている。
 以上の事で、大きな問題はなさそうに思えるが・・・→実際は、そこでは、日本とは大きく違った医療がなされている。
 イギリス型での最大の特徴は、「待機リスト」があると言うことである。(イギリス人の国民性で)医療を受ける場合、皆全く公平である。(どこかの国の様に?)コネはない。社会的地位が高いからとか、医療関係者だからとかは、全く関係ない。(・・・←この考え方自体は、素晴らしいのですが・・・)
 GPの判断で入院が必要となっても、直ぐに入院できない。空きベッドが出来るまで、自宅待機となる。数週間はザラで、3カ月も珍しくない。表は、4年間の入院待機患者数を示したもの。日本の人口の半分しかないイギリスで、一見、次第に改善しつつある様に見えるものの、日本では想像できない出来事だ。
 しかし、実際は、「待機リスト」の他に「隠れた待機リスト」なるものが存在する(!)のである。入院用の待機リストに載せてもらう為には、病院の専門医の診断が必要となる。紹介状を持って行っても、直ぐに診てもらえないのだ。専門医に診てもらうのに、数週間から3カ月余りも待たされる。
 ちなみに、2007年4月30日時点(インターネットで常に公開されている)で、約96万人もの患者が「隠れた待機リスト」となっている。その内4週間以内が約54万人、4週間から8週間が約33万人、8週間から13週間が約9万人となっていて、運が悪ければ、病院の専門医に診てもらうまでに3カ月も待たなければいけない。
 更に驚くことは・・・→初めのGPの診察を受けることも容易でない。通常は、2日ないし1週間待たされる(!)。予約を取って数日後にGPのオフィスに行くことになるが、たいていのカゼや腹痛などは、その前に治ってしまう為、イギリスでは簡単な病気でGPにかかる人は、まずない!!
 兎に角、GPの診察までに数日、紹介状を書いてもらって病院の外来で診察を受けるまでに数週間、更に入院までに数カ月の時間が必要となる。日本では信じがたいが、イギリスでは、ここ10数年来、これが当たり前の事となっているのだ。
 何故、そうなってしまっているのか、その理由とは・・・→イギリスの医師は、目前の患者に全力を尽くすべきという一種の職業倫理観が強いので、GPは、一人の患者の診察に20分〜30分程の時間を費やす。病院の専門医ではもっと時間を掛けるし、そこでは、インフォームドコンセントなども、たっぷりと時間が掛けられる。
 医療サービスが濃厚→一人に掛ける時間が長くなる→他の患者の待ち時間が長くなる→GPの診察待ち→待機リスト患者の増加→隠れた待機リスト患者の増加と、必然的な流れになっているに過ぎない・・・!!