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退職後の雑感(441)

  「退職後の雑感、医師の本音」
 
 時代は、どんどん変わっています。当然、ヒトの価値観も、変わって行きます。
 私が医師に成り立ての頃、親族の都合で仕事を休む何て、なかなか言えない雰囲気でした。しかし、今は、違うと私は思ってます。
 以下は、10年前に記載した内容ですが、もう、この頃から、そうだったんだなあと述懐しています。

 ある大学の医学部のある科で、新しい教授が赴任しました。で、まずその教授が初めにしたことは・・・→1人ずつ、自分の教授室に呼び、1対1で、医局員の本音を聞いてみました。
 その内容とは・・・→次の内、優先的に選ぶとしたら、どれか・・・
1、「金(経済的なこと)」か、
2、「時間(自分なりに使える時間)」か、
3、「名誉・地位(博士号や長の付くポスト)」か、
 ・・・→一番多かったのは、2番目の「時間」でした!!
 馬車馬の様に、時間外にも、がむしゃらに働くことを期待しても、今の時代、無理だと思います。考えてみると、この若い先生たちの考え方がまともだと思います。
 今の若いドクターの価値観は・・・→(私が思うに)まず、自分の家庭を大切にし、(結婚していれば)まず、良きパパやママであるべきで、子どもと出来るだけ関わりたい・・・お金は多い方がいいに決まっているけど、(子どもがまだ小さい時には、今、腕を磨くべき時だから)収入は人並よりちょっと良ければ、それで充分で、それなりに生活出来るお金があればいい・・・いい医師でありたいが、体を壊してまで働こうとは思わない・・・と言う感じでしょうか・・・?!
 医師の将来は、最終的には、「勤務医」になるか、「開業医」になるか、「研究医」になるか、その3つの内から選ぶしかありません(開業医の中には、忙しい診療の合間に、貴重な研究めいたことをして学会発表をしているドクターもいますが・・・)。
 大学でいい論文を書かなければ、(いい悪いは別にして)大学にいる意味がないのが今の日本の現状です。大学では、医師が多い為に、いい臨床医になろうとしても、受け持ち数が少なくて経験不足になったり、症例が偏ってしまう可能性があります、それに、大学だけでもらうお金は、ホント少なくて・・・→時間給にすると一般の人よりも低く、バイトをしないと経済的に楽でないケースが多いのです・・・!!
 僻地でも、教育がしっかりしていて(専門医が取れる為の研修の場所になっていれば)、そして、QOLがしっかり保てていれば、短期間であれば、そこに就職してもいいと思っている若いドクターは、多いと思われます・・・?!
 卒後研修制度が変わって、パンドラの箱は既に開けられてしまいました。もう、元には戻れません。現実には、大学も僻地も、医師の数が少なくなって、困っています。

 (令和5年4月27日、記載)