日本の心・さいき

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医師の資源・・・?!

 埼玉県秩父市のホームページには、「みんなで秩父地域の救急医療を守りましょう!」って感じで、以下の内容で書かれている。
・・・いずれの病院も医師不足で、円滑な救急受入れが困難な状況にあります。・・・平成20年度における秩父消防本部管内の救急搬送の約4割が軽症患者で、小児(18歳未満)では約8割が軽症患者でした。・・・今後、夜間・休日の二次救急医療を維持するうえでは、「昼間は仕事があるから、あえて夜間に受診」「待ち時間が短いため夜間に受診」などを理由とした受診はお控えいただくことが非常に重要です。・・・まずは、可能な限り、平日の昼間のうちに、かかりつけ医や小児科医に診察していただくようお願いします。・・・
 そうですね。特に、(新生児を含む)小児救急医療に関しては、医療側にも、資源に限界があるので、患者さん側や周りの医療機関の協力がどうしても必要となりますね。
 365日24時間、フルに仕事をすれば、どんな人間でも、その内、体がボロボロになりますよ。どんなに精神的に高いモチベーションを持っている医師でも、そうなります。
 アチコチで、そんな感じで24時間小児医療をしてきた病院が、それを辞めつつあります。集約化で5〜7人の体制でしても、24時間365日は、きついはずです。世間がそれを求める事自体が無理と言うことです。
 いろんな意見があると思いますが、深夜(22時〜6時)は、どうしても朝まで待てない人のみ、(痙攣や呼吸困難などで)来院するべきです。22時過ぎてから、急に症状が出て、朝まで待てない例は、極めて少ないはずです。どうしようか、どうしようかと思いながら、とうとう、朝まで待てないと思って、深夜に親御さんが子どもを連れて来る例が多いと思います。となると、その前に(深夜前に、どうしても不安で、判断付きかねる時は)、来院するシステムを取っておくべきだと思います。それが電話で可能ならば、それで済ませるべきでしょう。又、直ぐに処置をしないと危ない時は、それなりの体制を取っておくべきでしょう。
 小児は、急変します。夕方から嘔吐が始って、(親が遠慮して)早朝、グッタリなっていて、慌てて処置をした経験、多々あります。腸重積症で、土曜の午後から症状があるのに、翌朝まで待って、手術になった例(県病での私の経験)もあります。医師に成り立ての頃、県病や大学で、乳児の嘔吐下痢による脱水で、深夜来た時には、既にショック状態で、その後直ぐに亡くなった例も見てきています。痙攣重責や喘息やクループでの呼吸困難は、待てません。ひどくなる前に、深夜に入る前に、診療可能な体制を行政サイドで設けるべきだと思っています(新生児を含む救急医療の場合は、その多くは、不採算なので、民間や個人の犠牲の犠牲の上に成り立ってきた今までの体制を深く反省すべきです!)。
 私の場合は、自分が現場にいれば、常に、その体制をとってきました。佐伯市では、約20年間、夜は、20時〜21時まで、時間を決めて毎日(ホントに365日!)診ていました。患者さんも、それを知っていて、その時間になると集まっていました。
 以下は、実際の私の経験した統計です。深夜の数、時間外来院数の5%足らずですが、深夜入院となると、その割合が深夜来院数に対しては、極めて高くなっています。
・平成3年・・・266(110)/5.808
・平成4年・・・178(88)/5.559
・平成5年・・・181(84)/4.332
・平成6年・・・227(103)/3874
・平成7年・・・225(104)/4.098
・平成8年・・・171(71)/3.587
・平成9年・・・125(56)/2.718
・平成10年・・・119(51)/2.112
*平成2年11月〜平成11年5月まで、19床を持って、小児科単科で(41歳で)開業。
分母は、時間外数、分子は、深夜の数で、( )の数は、その内の深夜入院数(19床あり、医師は、常に私のみでしたが・・・)
*救急病院の佐伯市西田病院では、昭和55年4月1日〜平成2年3月31日までのまる10年間で・・・3.054(660)/37.882でした(小児科外来数は、337.148、これ以外に、新生児・未熟児医療もあり!8年半余は、小児科常勤医は、自分だけでしたが・・・)。深夜入院数は、時間外数のわずか1.7%でした。
*時間外が多いので、点数が上がり、(大分県の小児科開業医の中で2番目に多いと)行政上の注意を受けました。それ以後、時間外でも、初診でない場合は、時間内の料金で請求することにしましたが・・・。