日本の心・さいき

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点滴と私・・・

 小児科では、脱水がひどい時、点滴をします。脱水がひどいと、血管が細くなり、血管に張りがなくなり、針が入りにくくなります。一度失敗すると、同じ箇所は、もう、しばらくは、血管が使えなくなります。次に入りやすい別の箇所を探すことになり、難易度が上がります。
 それに、子どもは、泣くので、又、親の心情を考えると、それ等がプレッシャーになって、いつも入る血管も、優しいドクターやナースだと、入らなくなります。そんな時、同じ人間が3度して出来ない時は、代わりの人がすることになることが多いかと思います。
 佐伯の救急病院に就職した時、(新生児・未熟児を含む)小児科のナースで、小児科経験者は全くいなくて、初めの頃は、全て、私が点滴をしていました。当初、1000g以下のベビーも産まれ、深夜でも、どんなことがあっても、抜ければ直ぐに起きて、入れていました。
 当時は、翼状針全盛時代で、翼状針だと、入り易いのですが、直ぐに抜けてしまうのが欠点でした。どうしても出来な時は、カットダウンしたことも(昭和51年の私の県病院時代には)ありました。
 佐伯のベビー室(→私の案で、新生児・未熟児センターが出来ましたが)で、深夜、私が難儀しながらも、点滴をしている姿を、ナースが何度も見て、ナースの方から、「先生、私たちがしてもいいですか?」と言ってもらえました。それは、その病院に就職してから、1ヶ月程経過した時でした。私が、睡眠不足状態でも、一生懸命に入れているのを見て、いたたまれなくなったのだと思います。
 嬉しかったですね。ホント。それからは、小児科のナース全員が、未熟ながらも、入院でも外来でも、私が忙しい時は、点滴に挑戦し始め、症例が多いので、飛躍的に腕を上げました。
 で、私の腕は、この15年間近くで、どんどん落ちて行き、又、ナースも、私を次第に当てにしなくなったこともあって、今では、完全にナースに頼り切っています。(天草での職場になってからは、点滴することが、殆どなくなりました。)
 天草では、私の仕事は、ナースが、点滴が入らないで難儀している時、親御さんに丁重に頭を何度も下げて、いろいろ説明して、親御さんの気持ちを和らげることでした。
 今の職場では、採血も点滴も、ベテランナースがしています。とても上手で、完全に頼り切っています。もう、私の歳は、来年、70歳ですから。
 (私、69歳ですが、まだ、急病センターに行ったり、当番医も、していますが・・・)