日本の心・さいき

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解熱剤雑感・・・

 熱が主訴で、時間外に慌てて来院する親御さんが多いです(祖父母も)。
 熱→けいれん→脳障害って思い込んでいる感じで(?)、里帰りで、父母でなく、任された祖父や祖母だと、子どもの少ない時代、時に、慌て様が尋常でないことがあります。
 「大丈夫でしょうか?」何て、詰め寄られて問われても、治す方の立場だと、例外もあることなので、・・・明日も、何かの時は、診ますので、・・・って感じで、安心させていますが。
 ところで、この熱の対処の仕方ですが、いろんな方法があり、小児科医にしても、その説明の仕方、千差万別ではないでしょうか?
 熱の多くは、ウイルス。ウイルス自体には、熱を上げる力はないはず。それを排除しようとして、ヒトの体が熱を上げて闘っている訳で、熱が上がれば、免疫細胞もどんどん動員されて来るでしょう。それを解熱剤で下げるとなると、免疫細胞が、ウイルスがいないと勘違いして、治るのが遅れるのでは、・・・?!
 海外での説明では、・・・→頸部や脇や鼠径部に、大きな動脈が通っているので、そこを濡れタオルでしばらく拭きなさいって感じで、患者教育がされている(?!)。これが、簡単で、副作用も少なくて、いいのではないでしょうか?!しかし、これも、これで本人が気持ちいい場合であって、熱が高くても、あまりきつがっていない時は、ウイルスと闘っていると思って、しばらく様子をそのまま見るべきだと思います。
 多くの人は、直ぐに結論を出したがる。しかし、医療に関する限り、「経過を見る!」と言うことは、とても大切なことだと思います。ウイルスの場合、ワクチンは別にして、インフルエンザやヘルペス以外は、特効薬はない訳で、時間が薬ってことになるかな。
 大切なことは、そんな感じで、経過を細かくよく観察して、慌てず、かつ、大事な所見を見逃さないことだと思う。
 小さければ小さいほど、急変する傾向にある。一つの病名を言われても、それにいろいろ合併してくれば、状態は変化して行く。特に、新生児や乳児では、朝方と夕方で状態が著しく変わっていること、しばしばである。
 副交感神経が優位になる深夜は、咳が多くなり(特に、2:00〜6:00)、又、副腎皮質ホルモンの日内変動の関係か、熱は夜、高く上がる。と言うことは、小児科医にとって、時間外の診療は、大きな問題となってくる。
 熱さましとして、多くのケースでは、「アセトアミノフェン」が処方されている。しかし、これって、平熱が低くて、37度ちょっとでもきつがる場合は、どうなのかなあ?
 自分の場合は、西洋医学ではいい薬がないと思い、代わりに漢方薬を処方している(証を合わせることが大切だと思います)。漢方薬の場合は、オーダーメイドって感じ。 
1、葛根湯・・・悪寒の時が、一番よく効く感じ。インフルエンザでは、これをファーストチョイスで、使用している。脈が弱かったり、凄く汗かきの人には、使用していない。
2、葛根湯加川キュウ辛夷・・・しばしば副鼻腔炎が起きる人で、葛根湯を使いたい時に使用。
3、升麻葛根湯・・・葛根湯を使いたい時で、発疹がある場合。(麻疹など)
4、麻黄湯・・・初めの1日だけ使用することが多いが、深夜の乳児の鼻閉には、頓服で、しばしば処方している。
5、白虎加人参湯・・・突発性発疹症の特効薬って感じで使用しているが、高熱で、手足冷たく、口渇を訴える時にも、しばしば使用している。
6、桂枝湯・・・脈が弱く、汗っかきの子ども。
7、柴胡桂枝湯・・・その多くは、2〜3日経った時に使用。
8、黄連解毒湯・・・興奮状態にあり、高熱で、顔も手足も真っ赤で、熱い時に使用。
9、小柴胡湯加桔梗石膏・・・ウイルス感染で、扁桃炎(や、頸部リンパ腫腸がある時)で、熱がしばらく下がらない時。
10、清肺湯・・・細気管支炎の時に使用。
11、その他に、辛夷清肺湯、小青竜湯、川キュウ茶調散、竹ジョ温胆湯(インフルエンアのこじれの特効薬)なども、使用しています。
 漢方薬は、薬局で買えます。多くの種類が。錠剤もあります。飲めない子の為に、一緒に飲むゼリーもありますよ。しかし、漢方薬にも副作用があります。症状がもっと悪くなったり、発疹が出たりすることもあります。
 東洋医学的な考え方として、「医食同源」って言葉があります。正に、そうだと思います。

http://blog.m3.com/syumi-syounikai/20081119/1