日本の心・さいき

日本の心で、世界平和の実現を!

腸重積症

 3月12日(金)、15:00から院内の歯科に行った。左上6番目の歯を抜歯していて、直ぐにブリッジが出来ないので、沖縄旅行の時は、抜けたままの状態だった。この日は、型を取った。(その1週間後に出来上げる予定)。
 歯科に行く前に、ピッチを医療秘書の人に預けた。歯の下の型を取っているちょうどその時に、救急外来のナースが来て、「先生、1歳の嘔吐の子、17時からでいいですか?」と言う。言えない状態で、頭を縦に振って返事。
 で、17:20頃にその子(女児)が隣の島から来院。母親が、「先生、本で見たら、腸重積かと思ったんですけど?」と言う。
 顔色さほど悪くない。嘔吐あり、下痢を少ししていて、熱も37.5度ある。お腹を触ると、少し不機嫌な顔をする。周りに、嘔吐下痢の子どもが多いと言う。(当院外来でも、ノロやロタがとても多くて、毎日の様に、子どもに外来で点滴をしている。)
 母親が、「時々お腹痛がるんですが、お腹が痛くない時の間隔がだんだん長くなっています、・・・」と言う。
 「腸重積って、これはただ事でないって感じで、真っ青になってお腹痛がること多いけどなあ、それに、間欠的疼痛って言うのがあって、痛くない時がどんどん短くなってくるけど、・・・」と母親に言った。(この時、今流行の急性胃腸炎だと思った。)
 「取り敢えず、漢方薬(五苓散)をお尻から入れて、しばらく様子を見ましょう。」と私は言った。
 「吐いて、熱があって、少し下痢気味で、お腹痛い感じなので、今、流行の急性胃腸炎みたいですが、・・・でもね、お母さん、いろんな腸重積があって、こんな腸重積もあるんですよ、・・・」と説明した。
 この日、17:30から、病院の会議室で、「診療報酬改定勉強会」で、前々から行く予定にしていたのだが、心配なので、この子の状態をずっと見ていた。
 顔付きがさほど悪くない、しかし、元気がない。下痢が強くない。注腸後、普段は15分もすれば、それなりに顔色が良くなるはずが、良くならない。(おかしい?)
 で、突然、2回嘔吐した。(これはやはりおかしい!)、お腹を触ると、右季肋部にしこりが触れた。便秘はないので、便秘のしこりではないはず。肝臓の硬さとは違う。触ると、顔色がサッと(痛そうな顔色に)変わった。(腸重積だ!!)
 金曜の夕方なので、(当病院の)二人の外科医はいない(と、ナースから言われる)。今日は、(超音波が得意な臨床検査技師の)送別会とのこと。小児科常勤医の先生は、既に不在。
 で、腸重積症のプロトコールをその小児科常勤医の先生と前もって作成していて、デモもしていて、整復の時は、消化器内科の先生からも立ち会わせて欲しいと言われていたのだが、ここに来て5年近くにもなるのに、腸重積症が一例もなく、それに、よりもよってこんな時にと思ってしまった。
 幸い、(救急車で35分で行ける)「○○地域医療センター」が(検査も何もせず、点滴もしないままに)快く直ぐに引き取ってくれた。発症してから6時間程しか経っていなかったが、紹介先では、直ぐに整復が出来ず、外科医も呼ばれて待機してもらっていたとのこと。
 入院して無事に退院し、3月16日(火)に、下痢がまだ残っているとのことで来院した。(手術しなくてホント良かった、良かったと、母親と一緒になって喜ぶ。)
 しかし、何年しても、典型的でない腸重積症の早期診断は難しい。こんなに急性胃腸炎が流行している時は、尚更のことだ。浣腸しても血便のないこともあったし、症状があまりはっきりしないことも沢山あったかな。