日本の心・さいき

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医師の仕事

 医師不足に関してのテレビでのドキュメンタリーで、「外来の診察室の○科の医師の椅子が2つしかない訳だから、その科の医師は2人で充分足りるはずだ・・・」って感じである町の町長さんが言われていたが、これを聞いてそのズレの大きさに驚いた医師が多かったに違いない。
 医師の仕事がこれだけだったら、ホントに楽なのだが・・・。病院だと、多くの場合は、入院患者さんの管理がある。今は、書くことが多くて(パソコンで打つことも多くなっていて)、一人受け持っただけでも、誤解のない様にと)家族への説明から、指示やカルテ記載など、書くことが多い多い。入院から退院まで、かなりのエネルギーを要する。
 急性の疾患が入院した場合(小児科は、殆どが急性だが)、深夜でも、ナース・ステーションから電話がしばしば。それに、月に数回の当直がある(自分は、アルバイト医なので、完全に当直から外されているが、一人しかいない小児科常勤医の先生は、当直もされている・・・翌日の小児科外来、きついだろうなあ・・・)

 自分が勤めている所、人口5.000人程の町で、開業医が一人もいない。それで、勤務医が開業医の代わりをすることになる。
 平成21年3月〜平成22年までの院外での小児科診療回数を数えてみた。

・自動車で30分余要する○島町まで、月に1回、健診に行き、(1歳半健診6回、3歳児健診6回)、全部で12回。
・自分の住む○ヶ岳町の乳幼児の健診・予防接種、乳児:6回、1歳半:4回、3歳:4回、全部で14回。
・自分の住む○ヶ岳町の(3カ所の)保育園の年2回の健診が6回、小学校で行う就学前の保育児健診が、(小学校が3カ所あるので)3回。全部で9回。
・自分の住む○ヶ岳町の小学校3校の健診が3回、中学校2校の健診が2回、それに、マラソン前健診がそれぞれにあり、それが5回。全部で、10回。
 全てを合わせると、総計、45回となる。(こんなに院外健診をしているのです!)
 その45回は、全て、午後に(小児科医が)行っている。
 で、私の場合は、それに、看護学校の講義がある。その回数が、来年の平成22年は、総計30回(1回が100分講義)となっている。
 で、私の場合は、病院の新生児・未熟児を受け持っている(月1〜2回、帝王切開あり)。生直後と退院時、必ず2回、診察している。又、院内出生の乳児の1カ月健診を、月曜の午後に、火曜の午後は、院内での子どもの予防接種を、水曜の午後は、帝王切開の為に開けている。木曜の午後は、院外の予防接種や健診、金曜の午後は、講義など。
 それに加えて、救急患児の夕診や準深夜や土・日・祝の時間外診療をしている。(市内には、病院は、当院1カ所しかなく、又、新生児や小児の入院も、市内では、当院しか出来ない。)

 大分県佐伯市で8年半余、入院設備を持って開業していた時の院外での予防接種と健診の回数を、平成10年だけで、調べてみた(平成11年5月31日に閉院)。
 4月8日(水)・・・ポリオ(八幡地区公民館)
 4月9日(木)・・・3歳児健診(佐伯保健所)
 4月15日(水)・・ポリオ(勤労青少年ホーム)
 5月7日(木)・・・乳児健診(佐伯保健所)
 5月15日(金)・・BCG(渡町台小学校)
 5月22日(金)・・BCG(佐伯東小学校)
 6月10日(水)・・ツベルクリン(鶴岡小学校)
 6月17日(水)・・ツベルクリン(勤労青少年ホーム)
 6月26日(金)・・BCGコミュニティーホール鶴岡館)
 7月30日(木)・・1歳半健診(佐伯保健所)
 8月20日(木)・・乳児健診(佐伯保健所)
 8月27日(木)・・乳児健診(佐伯保健所)
 9月10日(木)・・3歳児健診(佐伯保健所)
 9月11日(金)・・風疹(佐伯養護学校、木立小学校)
 10月8日(木)・・乳児健診(佐伯保健所)
 10月23日(金)・二種混合(佐伯小学校)
 11月6日(金)・・風疹(城南中学校)
 11月13日(金)・風疹(勤労青少年ホーム)
 12月17日(木)・1歳半健診(佐伯保健所)
 1月28日(木)・・乳児健診(佐伯保健所)
 2月18日(木)・・3歳児健診(佐伯保健所)
 3月4日(木)・・・乳児健診(佐伯保健所)
 忙しい中で、19床の入院設備を持って、22回も院外でこれだけのことをしていた。それに、医師会の准看護学院の講義や行事にも、しばしば行っていたが。
 今の医療では、実に書くことが多い。患者さんが入院保険に入っていると、その経過を詳細に書いてお金がちゃんともらえる様にしてあげないといけない。又、今の時期だと、インフルエンザ治癒証明書、ちょっと前までは、インフルエンザと診断した人の報告書を全て書かされていたが・・・どんどん医師の仕事は多くなるばかりか・・・(溜息)

*昔の資料を見ると、自分でも何でこんなに頑張れていたのかなあと思う。冬の時期の忙しい時には、24時間、メチャクチャに忙しくて、親御さんから、「先生、体を大切にして下さい・・・」何て、よく言われていた。そんなに頑張っても小児科の場合、売り上げがあまり上がらず(今は、少し改善していますが)、人件費で食われ、経営もそれなりに大変で(初め、子どもが退院する時、その多くの親御さんから、医療費があまりにも安いので、計算間違いでは!と何度も言われていましたが・・・病院の半分でした!!)。患者さんが多くても、小児科の経営が大変と知っているのか、税務署は、開業している期間8年半余、全く来なかった。
 睡眠不足と闘いながら、血圧も高くて、頭もしばしば痛くて、今思うと、いつ過労死しても不思議でなく、危ない状態にありました。その点、今の生活、よく眠れるし、血圧もちゃんとコントロールされていて、とても満足しています。今のアルバイト医の生活に、感謝感謝感謝です。
http://blog.m3.com/syumi-syounikai/20080218/2