日本の心・さいき

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個人差・・・

 小児科医は、医師の中でも最も肝炎の危険にさらされていると言われる。と言うのは、採血や点滴の時に、血液に直接触れる機会が多いからだ。手袋をしてすると感染防御の意味でいいのだろうが、それだと、どうも指の感覚が鈍くなってしまう。
 予防接種の際にも、がちっと抑えていたつもりが、針が入った瞬間に激しく動かれて、抜けることもある(殆ど男の子だが)。時に、針先事故も。素手でする小児科医も多いし、私も自己責任で素手でしている。
 自分の場合、かなり年齢が行った所で、肝炎を防ぐ意味で、B型肝炎のワクチンを予防的に打ったのだが、私には、付かなかった。どうも、女性よりも男性に付きにくく、又、年齢が高い方が付きにくいらしい。
 で、インフルエンザのワクチンにしても、大人で、10人に1人ぐらいが、打っても抗体が有効に上がらなくて、そんな人は、2回打っても上がらないケースの方が多いらしい。
 ウイルスが入る場合、血液に入る前に、鼻粘膜や気道に入る訳だが、そこでの防衛システムは、血液のIgGでなく、粘膜のIgAとなっている。が、注射でのワクチンでは、粘膜のIgAは、上がらない。米国では、病原性を弱めたウイルスを鼻粘膜に噴霧してIgAを作らせる経鼻ワクチンも使用されているが、感染による副作用もあるため、それなりに制限がある。
 ウイルス防御のシステムは、IgGやIgAだけでない。例えば、ウイルスを(抗原提示細胞と呼ばれる)マクロファージや樹状細胞が処理して、そのウイルスの断片をマクロファージや樹状細胞のMHCクラス2(なる身分証明書)に付けて、細胞の表面に差し出す。で、これをヘルパーT細胞がキャッチして、免疫防御反応が複雑に出来る。
 ヘルパーT2細胞から放出したインターロイキン4などの作用により、B細胞が形質細胞となり、形質細胞からそれに合う(ミサイル的な)抗体を放出することとなる。又、ヘルパーT1細胞がインターロイキン2などを放出して、キラーT細胞が活性化して、ウイルスに感染した細胞を細胞ごと破壊してしまったり、ヘルパーT1細胞が出すインターフェロンγ(これ自体にも、IgGを増やす働きがあるが)により、活性型マクロファージからインターフェロンαなどが出て、ウイルスを少なくしたりすることとなる。
 人によっては、(AIDS患者さんの様に)ヘルパーT細胞の活性が落ちていたり、NK細胞の活性が落ちていたりしていて、防御システムの能力にも、個人差がかなり大きいと思われる。(以上も、はっきりしてないことが多くて、難しいですね・・・)
 以前ワクチンで水銀が問題になっていた。(極めて微量の)水銀をワクチン製剤に入れておくと、腐敗しなくて長持ちするので、この施行が長年今も行われているのだが、今回の妊婦への新型インフルエンザワクチンには、水銀の入ってないのが使用されている。(と言うことは、胎児への影響がある可能性もあるってことかな・・・?!)
 アメリカでは、3カ月未満の子どもが一度に沢山、水銀の入った不活化ワクチンを打たれて問題になっていた様だが、日本では、予防接種は3カ月からだし、一度に沢山打つことはないので、安全とされている。(麻疹や風疹などの生ワクチンには、水銀は、入っていない)
 西洋医学では、例えば、熱があれば、アセトアミノフェンを小さい子からお年寄りまで上げ、熱がなくても、痛み止めとしても上げているが、東洋医学的考え方だと、熱があれば、それはウイルスを排除する為のものと考え、(漢方だと)葛根湯や麻黄湯や白虎人参湯や柴胡桂枝湯や黄連解毒湯や桂枝湯や香蘇散や参蘇飲や小柴胡湯小柴胡湯加桔梗石膏や桑菊飲や銀キョウ散などと、証を合わせて副作用を少なくする為に、きめ細かくオーダーメイド的に使い分けられている。
 インフルエンザワクチンも、現在、年齢だけで量が決められているが、子どもでも、12歳(注射量は、0.3ml)で、親(注射量は0.5ml)以上の体重の男の子もいる訳で、ホントは、もっと臨機応変に決めるべきかも知れないかなとも思ったりもしている。(お年寄りには、ワクチンも、今の大人量の半分でもいい場合があるのではと、個人的には思っていますが)