日本の心・さいき

日本の心で、世界平和の実現を!

歯止め・・・

 もう、開業を止めて10年近くになるが(平成11年5月に閉院)、郷里で仕事をしていた時には(19年半)、小児の時間外診療は、20:00〜21:00に受け付けることにして、365日、診ていた。
 都合でその時間通りに行かなくて、20:30過ぎになることや21:00前しか診れないこともあるので、前もって電話をと初めから患者さんに言い続けていた。(これって、正式には、時間外料金は、当時は取れなく、開業当初は取っていたが、それでクレームが付けられ、新患以外、普通料金で診ることになってしまった。)
 しかし、けいれん重積や意識障害や新生児・未熟児の時は、待てないので、直ぐに駆け付けていた。1人で約17年間もして、開業している時(8年半余)には、家族一緒に市外に行くことはなかった(入院患者さんがいる理由で)。
 どんなことがあっても、遅くなっても、夜1回は診ていた。
 大分県の採用試験での口利きが問題になっているが、自分の仕事上でも、いろんな口利きがあった。
 母や家内と親しくしている人の関係の子どもさんが急に悪くなったからと言って、電話してくる。こちらのきついことを知っているはずの院内の職員もが、子どもが急に熱を出したからと言って電話してくる。ちゃんと自分としては時間外に診る時間を決めているのだが、それが初めはなかなか守られなかった。発熱や頭痛でも、直ぐに診て欲しいと言う人が多かった。親が自分の同級生だからとのことで、深夜にも、電話してくる。それに初めは悩まされた。しかし、私は(若かったからか)、初めは何とか診ていたが、その内、その殆どに(100%ではないが)応じなくなっていた。
 又、議員などの偉い人の名刺が付いてきても、院内のドクターの子どもさんでも、ちゃんと普通の人と同じ様に順番通りに長く待ってもらっていた。但し、医師の紹介や明らかに急ぐべき時は、優先して診ていた。
 兎に角、冬の忙しい時、特に月曜日には、250人を越えていた。もう、そんなことは、今は出来ないが。そして、10年半余の救急病院勤務の時には、深夜、新生児・未熟児で呼ばれても、帝王切開で呼ばれても、(これこそ本当の急患なので)急いで駆け付けていた。
 自分の体のことを考えて、0:00〜6:00までは、開業した時には、極力診なかった。熱での電話、全て断った。今考えれば、間に立つナースは、大変だったと思う。
 しかし、朝6:00過ぎたら診ると言っていたが、朝には、熱が下がったり、子どもがグッスリと寝ていたり、親が朝来るのに都合の付かないことがあったりして、来てもらえないことが殆どであった。
 いつでもどうぞって感じのコンビニ感覚では、こちらのきつさも分かってもらえないし、感謝の念が少ない感じがしている。小児科医のエネルギーは有限だ。それを医者だから、聖職だから、金持ちだからと言われてきて、若い時にはかなり傷ついていたが、今はそう言われても、もう慣れてしまったかな。