日本の心・さいき

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術がなくなった・・・

 広島高裁の裁判長は、「死刑を回避するに足りる時に酌量すべき事情を見出す術(すべ)もなくなった」として、死刑を告げた。
 世間では、事件当時の18歳の元少年に対しての死刑は当然と思われている。
 ただ、以下の事実を述べてみたい。
 元少年は、父親の家庭内暴力を小学校の時から受け、同じ家庭内暴力を受けていた母親は、元少年が中学1年の時に自殺してしまった。事件を起こした時、高校を卒業して水道設備会社に就職してわずか2週間目だった。18歳の誕生日を迎えて30日目であった。
 逮捕されて9年間、警察の留置所、山口刑務所、広島拘置所の中でずっと過ごしている。事件後に面会に来た父親からは、最初に「死ね」と言われ、今でも絶縁状態に近い。
 信頼していた実弟は、事件後に失踪して行方不明。
 彼は今、自殺防止用の監視カメラと集音マイクが付いた独房にいる。
 司法は、最後に、「術がなくなった」と結論付けた。
 法廷で、彼は、「亡くなられた二人のことを思うと、生きたいとは言えません。ただよければ生かして頂きたいのです。すみません」と話している。
 それ以前に、しばしば、彼は、自分の立場を、「生かされている」と表現している。