日本の心・さいき

日本の心で、世界平和の実現を!

終末医療・・・

 9月3日(月)、NHKの朝イチで、「家族の延命治療、あなたならどうする?」が取り上げられていました。実に様々な意見があるのですが・・・。
 認知症脳梗塞になった時、「胃瘻」を造ったり、気管切開して「人工呼吸器」を付ける場合、医師も、かなり迷っているケースが多いかと思います・・・。もちろん、どんどん元気になって行くと予想されれば、積極的になると思いますが、認知症がひどかったり、応答がはっきりしてない時は、どうでしょうか・・・?!
 新生児・未熟児を携わってきた小児科医として、障害児を持っている母親に沢山接触してきました。後遺症を持った子どもを抱えてとても難儀している母親も、たくさん知っています。自分が受け持って、後遺症が残った父親から、「私が元気な時はいいけど、その先が心配で・・・」と言われたこともあります・・・。
 日本の場合、世界に誇れる皆保険ですが、その医療費(30兆)も、高度医療と高齢化に伴って、毎年上昇する傾向にあります。それに反して、労働人口は、既に、減少傾向にあります。このままずっと維持できると考える方が無理だと思われます。現実に、満床に近い状態で、救急の治療を要する患者さんが直ぐに入院できなくて、難儀しているケースもあります。
 もちろん、重度の障害児を抱えていても、前向きで明るく生きているケースを何家族も見てきました。そんな生き方に、頭が下がる思いで、こちらの方が教わることもありました。
 今、染色体異常が血液検査で判別出来るって感じで報道され、それに付いて、いろんな意見が出されていますが・・・。
 人間って勝手なもので、自分のいい様に解釈する傾向にあります・・・→例えば、宝くじですが・・・→圧倒的に、大金を手にする確率は低いのに、それに当たるかも知れないと思って買います・・・交通事故・・・→宝くじの大金よりは、当たる確率が高いと思いますが、自分には当たらないと思っている人が多いのでは・・・?!人間、3・11で経験した様に、いつどうなるのか、誰にもこの先のこと、分からないのですが・・・(自分の場合、もしもそうなった場合の延命治療をどうして欲しいのか、前もって周りに伝えておくことが必要かと思いますが・・・!)。
 人の命は尊いと言っても、家族が疲れ切って、看護している人が病気になっているケースもあります。中には、看護している人も大きな病気を抱えているのに、やむなく老いた祖父・祖母の看護を献身的に自宅でしているケースもありますが・・・。
 3・11から、人間同士の絆の大切さや延命医療の在り方など、一般の人の間でも、しばしば話題になっていることは、とてもいいことだと思っています。

*30年以上、小児医療をしてきて、何もしないでと何度も強く言われたケースが2例ありました(共に、20年以上も前のことですが・・・)。それも、家族から複数ではっきりと(延命治療を望まないとの内容で)言われました。(私も、しばらく、かなり落ち込んでいましたが・・・)
 一例は、18−トリソミー症候群でした。病名が付いて(初め、何の疾患か分かりませんでした・・・)、この病気だと長く生きられないと告げると、患者さん側の態度が変わりました。告げてから亡くなるまで(12カ月余)、一生懸命に献身的に母親が看護していました。亡くなった時の母親の涙を、今でも、はっきりと覚えています。
 もう一例は、未熟児で、器械を長いこと付けていました。2週間過ぎても、器械をはずすと、呼吸が確実に止まりました。何度も何度も親を説得して、1カ月まで器械を付けて、無事に救命出来ました。その後、順調に大きくなって、私も親も、共に喜び合いました。