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やる気と記憶力

 「やる気と記憶力」
 今月の28日で、満66歳にもなります。もう、60歳よりも70歳に近く、終活も、ちょっとは考えていますが・・・私の子ども3人には、昨年、言っておきたいことを整理して、フラシュメモリーに沢山入れ込んで、しっかりと渡しました。
 1月に胆石の手術をしてから、殆ど毎日、夕方、ウォーキングをしていて、体の調子がいいみたいで、又、血圧も安定しています。まだ、結構、元気で頑張れそうですが・・・?!
 自分に言い聞かせる意味で、(2006年7月29日に記載したものを)再掲しています。その内、ヨーロッパに行く予定で、その時に役に立つ様にと、語学(独・仏・アラビア・西・露・中・ハングル、NHKの内容をビデオに入れて、欠かさず見ていますが・・・それに、インターネットでポーランド語)、自分なりに頑張っていますが・・・!

 どうしたら、やる気が出て来るのだろうか、そして、記憶力を良くするには、どうしたらいいのだろうか?実は、この問題は、多くの親や教育者のみならず、万人の関心のあるところです。
 やる気と記憶力は、お互いに、深い関係にあります。やる気があるから、集中してやり、集中してやるので、よく記憶に残ります。よく記憶に残っているので、必要な時にすぐに取り出せ、すぐに思い出せたことで、物事が上手に出来、脳に、それなりの快感を与えることが出来ます。その結果、脳は、再びその快感を味わいたくなって、益々、やる気を起こします。
 しかし、初めの段階でのやる気は、どうしたら生まれるのでしょうか。それは、いい達成感を経験して行くことから生まれます。いい達成感は、自信を生み出し、自信を持つことによって、自分が好きになり、そんな自分をもっと高めたくて、頑張る気持ちになります。
 専門的に、やる気のメカニズムを言います。何かをしようとする時、前頭葉の前頭連合野から、すぐその後ろにある「側座核(2mm、0,2g)」に、司令が行きます。「側座核」から、「記憶」と深い関係のある「海馬」と「好き・嫌い」などの価値判断を下す「扁桃体」に連絡が行き、そこで過去情報や価値情報を収集して、プラスの方向に判断されると、視床下部から「やる気ホルモンTRH」が出て、脳が活性化することになります(それ等は、快楽A10神経で、結ばれています)。
 ここで、「好き・嫌いの扁桃体」が、悪い情報だと判断すれば、脳は、常に快楽を求めていますから、マイナスの方向に判断されて、やる気ホルモンが出なくなります。
 やる気を起こすには、好きになることが大切ですし、いやいやながらして行くことは、脳の活性化においては、最悪なことをしていることになります。
 親や先生や上司が、しかってばかりでは、扁桃体には、マイナスの記憶が強く残り、結果的に、やる気が出なくなります。しかられまいとしてびくびくして頑張るのと、又、誉めてもらおうと思って張り切って頑張るのとでは、「太陽と北風」の話と同じで、持続する力が当然違ってきます。不快なことを脳に与え続けることは、脳にとっては、100害あって、1利なしです。

 交通事故に遭った人に、その時の状況を聞いてみますと、交通事故に遭ってからのことだけでなく、遭う前のことも、よく覚えていないことがあります(私の父がそうでした)。お酒で、全く覚えていない人、確かに、いますネ。
 動物実験で、ネズミに学習させた後、電気ショックを与えると、学習したことを完全に忘れてしまいます。しかし、1時間以上経過してから、同じ様に電気ショックを与えると、学習したことをちゃんと記憶しているのです。
 以上は、記憶には、短期記憶と長期記憶があることで、説明が付きます。「海馬」なる所で、短期記憶は、一旦、留まっています。それが、長期記憶になるには、しばらく時間を要し、又、強いイメージで記憶することにより、長期記憶になることができます。が、その直後に、強い刺激があると、長期記憶になることなく、又、反復しないと、長期記憶は、難しくなります。と言うことは、覚えたことを長期記憶にしようと思えば、覚えた直後に、強い刺激を与えないことです。もしも、強い刺激を与えるにしても、ある程度時間が経過してから与えるべきです。
 人間の脳は、次から次へと矢継ぎ早に押し込んで行っても、脳には、その人なりに、限界がありますので、混乱するだけです。コンピューターは、記憶したことをしっかり覚えていますが、人の脳は、違います。年令相応に、少しずつ、段階を追って入れていかないと、混乱を起こします。
 どうしても長いこと覚えておきたいものであれば、まず、目標をはっきりかかげ、一度に覚えようとせず、少しの量から、脳に栄養と休息を充分に与えながら、時間を掛けて、反復しながら、コツコツと覚えて行くことです。
 一度に沢山覚えられないが、ゆっくりであれば、確実に、一つずつ、覚えて行けるタイプの脳、すぐに沢山覚えられ、理解も早いが、しばらくすると、忘れてしまうタイプの脳、なかなか覚えられないが、覚えることが好きで、覚えて行くことを楽しんでいけるタイプの脳、音楽を聴いたり、体を動かしたり、他のことをしながらすると、うまく覚えて行けるタイプの脳、人は、皆、その人なりの違ったタイプの脳を持っています。
 生まれつき、運動神経にある程度の差がある様に、脳力にも、人それぞれに、差があります。ただ、脳の場合の能力は、いろんな能力があるので、いいか悪いかの判断基準よりも、その個性をうまく利用して行けるかどうかにかかっています。各人が、それぞれ、自分の脳の個性にあった感じで、自分なりに一番いい方法を小さい時から見出していれば、それが、最もいい方法なのです。
 ある人は、歩きながら覚えます。ある人は、コマ切れ時間を利用しながら覚えます。ある人は、しっかり遊んでから、覚えます。ある人は、早朝に、集中的に覚えます。現実に、ある作家は、喫茶店で執筆していますし、ある作曲家は、ドライブ中に、フッといい旋律がひらめいています。湯川秀樹の様に、寝床で思い付いた人もいますし、ベンゼンの様に、ベンゼン環を夢の中の出来事がきっかけとなって思い付けた人います。逆に言うと、いつもの決められた机の上で、制限時間もなく、単調に頑張っても、いいアイデアは、生まれません。環境を変えることは、変化を求め、快楽を求めている脳にとって、しばしば、有益です。
 万人に当てはまるてっとり早い方法は、寝る前に、ちょっだけでも常に復習することです。後は、長めにぬるま湯に入り、その後、すぐにぐっすりと眠ることでしょう。入浴も、適度の睡眠も、脳にとっては、休養する上で、大切なことです。
 しっかり記憶すべきことを、日記でも書く感じで、1日10分でも覚える努力をして行けば、塵も積もれば山となるで、特に、語学であれば、どんな人でも、3年も経てば、ある程度のレベルまで、到達できます。問題は、それが出来たいと言う願望が強く、しかも、やれば絶対に出来ると言う信念を強固に持っているかどうかです。そして、やる気が最後まで続くかどうかです。継続さえ出来れば、高度の知能低下がない限り、万人が万人、出来ます。それが証拠に、必要に迫られて、日本人は、日本語が話せますし、外国に永くいれば、他の言葉も可能になります。6年間も日本人がいない所に住んでいれば、日本で英語の成績が最下位だった人も、現地の人とコミュニケーションが立派に出来ています。年長の幼児であれば、それが、1年間で可能です。
 140憶個ある脳細胞は、20才を過ぎると、1日に、多い人では、20万個、少ない人でも、5万個、確実に死んで行きます。しかし、その神経細胞をつなぐネットワークは、最近の研究では、努力次第では、高齢になっても、増え続けることが確認されています。しかも、この神経細胞同士のネットワークを豊かに作れる人ほど、年に関係なく、いろんなことにどんどん挑戦して行ける人なのです。
 又、脳は、沢山データが入っていると、新しいことが入りにくい傾向にありますが、しかし、それなりに、記憶すべきことと、そうでないことをうまく区別して、生きる上で、不必要なものは、どんどん忘れて行きます。例えば、3食何を食べたか、24時間以内であれば何とか思い出せるのに、1週間前から全てを思い出せる人は、意識していない限り、いないでしょう。一昨日、トイレにいつ行ったか、テレビは、何を見たか、よほど強い印象がなければ、思い出すのは、大変でしょう。真剣に覚えようと思わないと、覚えることはできません。
 記憶のメカニズムは、現在、以下の様に言われています。記憶は、脳の一部に貯えられている訳ではなく、脳の広い部分に渡って、分散して貯えられており、必要な時に、それらが大脳皮質連合野で一つに統合されることで、再現されています。
 今までは、側頭葉のある記憶中枢に記憶が貯えられた感じで言われてきましたが、そうではなく、「海馬」「小脳」「側頭葉」など、多くの個所が関係しているのです。このメカニズムで行くと、五感を使ったり、体を使って覚えることが、記憶を強固にする意味で、非常に大切なことなのです。
 学問に王道なしで、語学にも、王道なしです。もしも、王道があるとしたら、それは、継続でしょう。何度も繰り返すことで、確かなものになって行きます。又、必要な時に、すぐに取り出せる様にしておかなくてはいけません。実は、記憶力のいい人とは、記憶したものを上手に取り出せる人なのです。上手に取り出せる為には、絶えず、反復しながら、整理して行く必要があります。
 人間の脳は、潜在的に多くのことを記憶していますが、その多くは、反復しないことで、又、新しいことをどんどん記憶して行くことで、時間と共に、次第に、忘れ去られて行きます。子どもが大人よりも記憶力がいいのは、全てが新鮮で(好奇心を起こし)、感動的であるので(集中できるから)、脳裏にしっかりと焼き付いているからです。
 現在、日本では、高齢化になり、リハビリを受けている人は多いですが、脳のリハビリを必要としている人も増加しています。又、記憶しているはずなのに、なかなかそれを思い出すことが出来ない若い人が増加しています。それも、真面目で、高学歴で、仕事熱心で、几帳面な人に多いのです。
 人間には、予測通りの決められたことをしないこと、つまり、「遊び心」や「冒険心」が大切です。自分のしたい事を我慢して、上から言われるままに、決めら時間内で、決められた事ばかりをしている限り、創造的な脳や逞しいしい脳は、出来ないでしょう。それが証拠に、天才の多くは、学校では、落ちこぼれです。アインシュタインシュバイツァーも、落ちこぼれでした。
 脳にとっては、楽しい趣味は、大切なことです。、人と楽しく交わることも、脳にとっては、非常にいいことです。脳の一個所だけでなく、脳のアチコチを使って生きる様に、若い時から、習慣付けておくべきでしょう。
 最後に、大切なことを言います。脳は、低血糖に弱いので、朝食をしっかりとることです。又、45分したら、休ませること、それをしないと、それ以後は、能率が落ちます。それに、ぐっすりと睡眠をとることです。夢を見ている時は、他からの刺激が入って来ないために、短期の記憶が長期の記憶に置き換わると言われています。

参考図書:「脳のしくみが解れば、英語は自然にできるようになる」(平成13年5月7日初版発行)大島清著 KKベストセラーズ