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インフルエンザの診断・・・

 今回の新型インフルエンザに関して、その診断、難しいケースが多いです。医者なら直ぐに診断が付けられるはずだと思っている人もいる様ですが、なかなかどうして、現場では小児科医が難儀しています。
 インフルエンザの時は、血液検査をしても、白血球やCRPで、はっきりと異常が出ません。鼻汁でインフルエンザの検査をして、陽性に出れば確実ですが、しばしば、陰性。発熱して12時間以内だと、まず、陰性。しかし、昔は、そんな検査はなかったし、インフルエンザに効く薬もなかったのですが・・・。
 今までどうして診断していたのか、・・・季節性のインフルエンザの場合、小児科を受診する年齢層が急に上がってくる。普通は、乳幼児が多いのに、急に、中学生や高校生が多く来るようになるのだ。そうなると、殆どが、インフルエンザと言うことになっていました。
 それ等の中学生や高校生の訴えが、発熱、頭痛、咽頭痛、関節痛(大人ほど多くない)と、皆、同じ感じになっている。時に、嘔吐下痢腹痛などの消化器症状を訴える子もいるが。咳は、初め少なくて、後から強く出てくることが多い。
 インフルエンザの喉は、少し赤い。が、溶連菌(溶血性連鎖球菌)やアデノウイルスと比べると、さほど赤くない。ここがとても大切な所で、喉が痛い割には、あまり赤くない。アデノウイルスの場合は、白苔が付いていることがよくあり、喉が痛そうに見える割には、あまり喉を痛がらないし、熱の割に、元気がいい。溶連菌だと、喉も赤くて、元気がないし、喉をとても痛がることが多い。
 溶連菌の場合は、年齢が大切で、乳児や1歳や2歳では、少ない。それに、咳や鼻水がないことの方が多い。アデノウイルスの場合は、咳や鼻水があることが多く、年齢が、乳児や幼児でも年少組のことが多い。アデノウイルス感染は、小さい子から大きな子までありますが、乳幼児で喉がとても赤い時は、まず、溶連菌よりもアデノウイルスの方を疑うべきでしょう。幸いに、今は、溶連菌もアデノウイルスも、外来で簡単に検査が出来ますが、そうであっても陰性のこともあるので迷うことしばしば。
 溶連菌感染症では、腎炎などの合併症を防ぐ為に、10日〜14日間、抗生剤を服用することになっているが、溶連菌かどうかを確認することなく、救急で来院して、夜に1回でも抗生剤を飲んでいると、後から見た医師が、翌朝に喉をこすって検査しても、(私の経験では)その殆どは陰性になってしまって、ホントに溶連菌だったのかどうか、解らなくなってしまうことが多い。
 (白苔が付くのは、溶連菌やアデノだけでなく、EBウイルスやヘルペスウイルス、更には、それ以外のこともありますが・・・。)
 採血して検査すると、インフルエンザと違って、溶連菌でもアデノウイルスでも、白血球は多く、炎症反応を示すCRPも上がっていることが多い。アデノウイルスは、ウイルスのくせに、検査は、細菌のパターンをとることが多い。
 教科書的には、インフルエンザ脳症は、1歳〜3歳が多く、1歳>2歳>3歳となっていて、小学生低学年よりも多い。今、7歳児が多くなっているのは、まだ、乳幼児の大半がインフルエンザに罹患していないからだと思います。
 急性脳症は、発症後、48時間以内に症状が出ています。何故か、日本人に多い。(疫学的には、熱性痙攣も、何故か日本人に多いとなっています。川崎病も。)
*時に、インフルエンザと溶連菌が合併していたり、インフルエンザ後に、麻疹(今はないですが)や突発性発疹で発熱した子どももいました。インフルエンザで、腸管出血が起きてショック状態になった子もいましたし、インフルエンザ後に急性虫垂炎になった子もいました。
 現場では、決め手が、普通は、鼻汁からのインフルエンザの検査しかない為に、再び発熱した場合、インフルエンザの2峰性の熱か、合併症か、新たに又別の疾患になったのかどうか、見極めに苦労すること、しばしばです。
 今の日本の乳幼児の半分近くが、何らかのアレルギーを持っていて、又、今の時期は、嘔吐下痢の人もいて、それとの鑑別、又、その前後にインフルエンザになっていると、診断、難しいですね。



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