日本の心・さいき

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誰の責任?

 東京都の墨東病院が救急の妊婦さんの受け入れを初めに断って、母親が亡くなり、その責任を、厚生労働省舛添要一氏は、そこを東京都が総合周産期母子医療センターとして指定している東京都の責任だと言い、東京都知事の石原真太郎氏は、国(行政)の責任だと言い、お互いに責任をなすり合っている様にも思える。両者が共に主張しているのは、「医師不足」である。
 東京都からER病院と指定されているその都立墨東病院側の現状は、産婦人科の常勤医として9人もの医師がいるべきところが4人しかいなくて、普段の当直は2人体制で取るべき所が、非常勤医師が1人急にいなくなった関係で、7月から土・日・祝の休みは、1人当直体制をやむなく取っていた。
 マスコミは、送った医師側の言葉(普通でないと初めから言っているのに)と病院側の対応(受け取った病院側の医師が、脳外科的な重症疾患と思わなかった)などを大きく取り上げているかな。
 実際にそれにあたっている現場の医師、それに亡くなられた患者側、大変な思いをしているのだが。
 常に限界ギリギリで頑張っている医師に、これ以上の責任をなすりつけ合いは、不自然。今までだって、産科や小児科の深夜の救急は、個人的犠牲で成り立って来ていることが多いんだから。
 行政の怠慢なんて、ずっとずっと、そう自分が医師になる前からのことかなあ。第一線で働いて難儀している小児科医がこれまで何とも声高に言ってきても、行政は動いてくれない(全くではないが)。それは、小児科だけでなく、産科や救急を扱う科も訴えてきているのたが、どこ吹く風、耳を真剣に傾けることなくきているのだ。
 この報道で、益々、患者さん側は不安に陥り、医療側も、特に勤務医は、今でも限界な状態なのに、益々、勤務医離れとなるであろう。
 マスコミは責任を取ろうとしない。官僚は、現場を知らない。
 東京都でさえもこの有様だ。地方は、もう、アチコチ壊滅している。
 つい最近、ある地方の病院関係者と話したら、いつ病院が潰れても不思議でないと言われた(彼とゆっくりと会食したが)。彼は、57歳で副院長なのに、週1回当直をしていると言う。その病院では、3人の内科医の中で、自分が一番若いと言う。大学から土・日の休みの時に代わりに当直の医師が来るが、平日は、大学の医局も少なくて、それが出来ないと言う。
 又、その土地のある別の病院では、(ある運転手さんの話では)その病院が売りに出されていると言う噂も。
 確実に、都会も地方も、医療が崩壊しています・・・?!その大きな原因の一つは、医師不足です。
 それでも、日本の新生児死亡率・乳児死亡率・周産期死亡率は、世界一となっている。これって、医療側は、スゴクスゴク無理しているのですが、そんなスタッフに対しての賞賛の言葉、あまり聞いたいことないなあ。一所懸命に頑張っている勤務医、いつも叱責ばかりでは、モチベーションが確実に落ちてきますネ。
 私も、来年還暦ですが、病院に産科がある関係で、住んでいる所を離れない限り、いつも拘束されている感じになっていますが(お産の数が少ないので、何とかやれていますが、拘束時間は、スゴク長いですネ)。