日本の心・さいき

日本の心で、世界平和の実現を!

ある小児科医の独り言・・・

 約、20年前に、私が院内誌の月報に書いた内容ですが・・・(平成4年1月14日発行・たはら小児科月報より)

 正直言って寂しい。何故だろうか?何で院長になると、こんなに孤独感を味わうのだろうか?これは、開業前には全く考えてもみなかったことだけど・・・。
 夜、時計が10時を回ると、寂しさがドッとこみ上げてくる。寝付くまでそんな感じだ。○○病院の故・○○▽先生が、「院長は孤独!」とある人にフッと言われていた。どうしてかなあとその時思っていたけど・・・。徳州会病院の徳田虎雄理事長も、同じ様なことを言っていたけど・・・。
 よく考えてみると、自分には、寄り掛かって頼れるものがない。ある人から、「先生って、悩みあるんですか?」と言われた事があるけど・・・悩みのない人って、ないと思うんですが・・・。
 今の自分の心境、誰にも理解してもらえないと思う。ある保険会社の人が言っていましたが、・・・「高額な保険は、殆どがお医者さんか弁護士の方です。会社であれば、社長が亡くなっても、取り敢えず、代わりの人がいます。直ぐに潰れることは、まず、ありません。しかし、お医者さんの場合は、それが出来ませんからね・・・」と。
 西田病院で忙しく働いていた時には、寂しいって感じたこと、少なかった。学会から帰る時、神戸や福岡からの長距離だと、時々、そんな思いをしたこともあったけど、今は、(どこにも行けない状態で)しばしば寂しくなる。
 私の生活スタイルは、朝型。朝、6:00前には、目覚し時計が鳴らなくても目が覚めていることが多い。7:00ちょっと前まで、布団の中で1時間も過ごす。この時、すごく贅沢に生きている気持ちになる。こんないい思いをしていいのかって気持ちになる。寒い冬などは特にそうだ。布団の中は温かくて、起きようか起きまいかって感じになる時、最高にいい気分、しかも、それが1時間も。1時間そんな状態でいると、頭がだんだん冴えてきて、お腹が空いてくる。それで、7:00ちょっと過ぎからの朝食がとても美味しい。自分の場合、朝食を抜かすこと、まずない。昔から卵が大好きなので、毎朝、美味しく食べている。何故か、卵の値段、あまり上がっていませんね。何故でしょうか?
 卵の値段が今も昔もさほど変化ない様に、上に立つ者の心境、今も昔も、あまり大差ないのでは?上に立てば立つ程、本音で気楽に話せる人がいなくなってしまう。同じ立場で忠告してくれる人がいなくなるのは確かなこと。建前で言う人が多くなる。その内、裸の王様になってしまうのかなあ・・・?
 友達を失くすこと、こんな寂しいことはないと思う。学校の先生だって、校長先生の退職後、ホントの友達は少ない。大学の教授の退職後は、もっと悲惨かな。それまで際立ってスゴイ地位にいた人ほど、後が寂しいに違いない。その地位がなくなって、自分には、いろんなタイプのいい友達がいなかったことにやっと気が付くはず。自分の事を本当によく理解してくれる人、親身になって悩みを一緒に考えてくれる人、趣味が同じ人、価値観を共にする人、同じ苦労をしてくれた人、沢山自分の周りにいるといい。
 この地球上には、スゴイ数の人がいるけど、その中で、自分と関わっている人、何%程いるだろうか?その中で、よく会っている人、少ない。自分の生き方に直接関係して、深く関わっている人、実に少ない。
 茶道に、「一期一会」と言う言葉がある。人との出会いを大切にしなければいけないと思う。ひょっとすると、これが最後になるかも知れない。そう思って、人との出会いを大切にすれば、人とくだらないことで言い争ったり、腹を立てたりする事は、グッと少なくなるだろう。
 地球人は皆友達。一人一人顔かたちは違うけど、同じホモ・サピエンスではないか。皆の平和を願う時、人間は本当に救われると思う。

 アシジの「平和の祈り」の内容を、以下に述べます。

 私をあなたの平和の為に用いて下さい。憎しみのある所に愛を、争いのある所に和解を、分裂のある所に一致を、疑いのある所に真実を、誤りのある所に喜びを、暗闇のある所に光をもたらすことができますように導いて下さい。
 慰められることよりも慰めることを、理解されることよりも理解することを、愛されることよりも愛することを望ませて下さい。
 わたしたちは与えることによって与えられ、進んで許すことによって許され、人の為に死ぬことによって、永遠に生きることができるからです。