日本の心・さいき

日本の心で、世界平和の実現を!

救世主・・・

 ある日の診療日誌より・・・
 患児から薬を飲んでもらえない時、困ってしまう・・・。
 8歳の男児で、マイコプラズマ感染症を疑って、マクロライド系の抗生剤を外来で処方していたが、飲んでくれない。
 そうでなくても、マクロライド系の抗生剤の多くは美味しくない。いろいろ多方面から検討した結果、大人用の薬(1回のシロップの服用で終わる)を量を少なくして処方することにした。(もう、肺炎で、39度以上の熱が1週間程続いていたが・・・)
 患児が、小さい時にけいれん重積の既往があって、その時の後遺症で、普通の患児の様に聞き分けてくれない。母親がどんなに試みるも、患児が飲もうとしない。美味しいよと何度言っても、母親が少しなめて、ホントに美味しいからと何度言っても、納得してくれない。私もその傍に長いこといたが、もう、半分諦めムードになっていた。で、(父親の言うことは、母親よりも良く聞く・・・と、その前日に見舞いに来た叔母さんの言葉を思い出して)父親に来てもらうことにした。
 母親が部屋を出るちょっと前に、偶然に養護の先生(女性)が見舞いに来た。すると、患児の顔が恵比寿顔になった。心底から嬉しそうな顔になっている。(ひょっとしたら上手く行くかも知れないと思った・・・)
 母親は、部屋を出て行った。養護の先生は、「先生、一人ぼっちで寂しい(小学校では、この子独りにこの先生が専属で付いている)。早く元気になって、学校に来てね。」と言って、果物を持って来ていた。「お薬飲んで、これ食べようね。」と言った。
 あんなに飲むのに抵抗していた子が、素直に、先生の介助で、薬をスッと飲み上げてしまった。驚いた・・・!!(・・・←養護の先生の愛の力、凄いなあと思いました。長いこと、自分の子どもの様に、学校で一生懸命にこの児に向き合ってきているからですね!)
 その後、父母が一緒に部屋に入って来て、皆で、良かった良かったと喜び合いました。
 で、その翌日、嘘の様に、解熱しました。(万歳!) 
 養護の先生は、患児にとっても、主治医の私にとっても、正に救世主でした。