日本の心・さいき

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将来の医療アラカルト(医療費抑制:3/10)


 国の財政がいい時代は、レセプトの監査も、さほど厳しくなかった。末期の状態で、死亡直前の医療も、何もおとがめはなく、(御苦労様でしたって感じで)終わっていた。しかし、今は違う。
 「たはら小児科医院を」開業していた時、(小児科医として)点数が県下で2番目に高いと言うことで、開業間もなく、役人から個別的に指導された。
 当時、大分県の小児科の点数は、常に下から5番以内って感じだった(宮崎県が一番低かったかな)。内科の平均点数にももちろん達してないのだが、それでも、自動的に、県下の小児科の開業医の中でレセプトの平均点数が上位何%かに入っていれば、呼び出しを受けることになる。
 で、犯罪者って感じで、お役人に「何でこんなに高い医療をするんだ」「他の医者はもっと低い点数で仕事をしているぞ」と言った感じで言われる(言われた)。
 日祝平日の時間外もベッドを持って救急をしていて、点数が上がるのは当たり前だが・・・。・・・→その後、時間外は、初診だけ、時間外点数を取ることにした。つまり、サービスで、時間外をしている感じになったが(結局、採算が合わない感じになって、19床の小児科が、8年半余で潰れてしまったが・・・)。
 小児科の場合、点滴がなかなか入らなくて何本も針を駄目にしたり、親の希望で、アレルギーの検査や諸々の検査したりすると、定額で取っている場合、赤字になることがある。小児科の場合、正に、労多くして、経済的には報われない。
 国民医療費、どの位かかっているのだろうか?・・・→2004年度では、32兆111億円となっている。この中には、正常出産の費用や健診や人間ドックなどは含まれていない。歯科診療の内、保険外のものは含まれていない(歯科では、保険外の方が多い場合も多いかな?)。国民医療費の内、一般診療医療費、つまり、医師が直接関与した医療費となると、24兆4000億円となる。これを25万7000人の診療医師で割ると、医師一人約1億円となる。つまり、医師が一人増えると、医療費が1億円増えると厚生労働省から思われているのだ?!
 問題は、今からだ。2006年1月の厚生労働省の予想だと、2025年度の国民医療費は、65兆円にもなるとされている。インフレもなく、物価水準も変化しないと仮定しての額である。一方、この数字を受けた日本医師会では、2006年4月に独自の予想を発表し、それでは、2025年度の国民医療費は、49兆円となっている。
 厚労省は65兆円、日医は49兆円、スゴイ開きだ。しかし、共に、医師の数から言って、どちらもハズレの感が強い。
 先に述べた様に、医師一人年間約1億円である。今までの動きを見ると、政府はこれを断固として維持するつもりに思える。又、医師側にしても、これ以上の医療サービスは難しい。今でも過労死寸前の状態で、これだけの医療サービスを維持している。これ以上働けば、ホントに大量の医師の死が出てしまう。つまり、労働力の面から見て、国が医療の単価(保険点数)を大幅に上げない限り、今以上に増えることはないと考えるのが妥当だと思われる。
 その肝心な医師は、毎年3500人〜4000人程度の増加である。厚生労働省の見込みでは、2025年には、31万人程度、「(2006年の)医師の需給に関する検討会報告書」でも、31万1000人と予想している。つまり、今の保険点数のレートで行けば、高々31兆円にしかならないと思われる。(国の借金も、その内に1000兆円を超えそうだが・・・?!!)
 もし、仮に厚労省が言う様に、65兆円に達するなら、かなりの医療サービスを切り捨てなければいけないことになる。
 しかし、以上の考えも、まだ甘い。2025年に医師が31万人になると言っても、70歳以上の医師までも総動員しての数だ。今や、若い医師たちの中には、収入が下がってもいいから、もっと仕事を減らして、人間らしい生活がしたいと切実に訴えているケースが多いのだ。
 ある元産婦人科(64歳)の先生と話した(今は、老人施設で働いている)。同期生が16人ほど(東京の有名なK大学に)入局して、既に、4人も亡くなっていると言う。生存している人も、自分の様に、体を壊している人が多いと言う。
 又、ある若い大学院生のドクターと話した。月1回の(金の夕方から日曜の18時までで、循環器専門の内科医で、その関係でたまに呼ばれることがあるだけ・・・)2泊3日のバイトと、又別のある病院での週1回の午前・午後と午後だけの診療で、困ることなく生活ができる。当直もないし、深夜呼び出されることもないし、リサーチもしっかり出来て、いいって感じで言われていたけど・・・。