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続・小児救急医療

 小児の救急医療をして一番困ることと言えば、「今までの経過を知りたいのに、その情報が上手く把握できない!」と言うことではないだろうか。
 子どもによっては、薬を上手に飲める子とそうでない子がいる。中には、薬で発疹が出たり、下痢をしやすいって子どももいる。代診で、カルテを見ても、よく分からないこともある。
 いつも診ている主治医であれば、それを熟知していると思われるが、時間外に初診で来て、数多い中、それを上手く把握できなくて、診断を誤ることもある。
 いろんなケースがあって、薬をもらって飲んでいるのだが、その薬名が分からない。連れて来ている人が、いつも身近な人でなくて、中には、頼まれたのでとのことで、殆ど情報をもらってなくて、来院するケースもある(若夫婦が、仕事で忙しくて、同居してない祖父や祖母に依頼して来院する時に多いが)。親が正直に言わなくて、(他の医療機関にかかっていることを言わなかったり、疾患にかかわる大事な情報を言わなかったりして)困ることもある。
 子どもの場合、年齢が下がれば下がる程、急変する傾向にある。現実に、嘔吐が何度も続けば、その日の内に、危険な状態になることもある。
 私は、看護学生さんには、小児の救急は、「カキクケコ」、それに、熱があれば「髄膜炎」、不機嫌だと「腸重積」を疑うべきだと常々講義の時に言っているが。つまり、「カキクケコ」は、「(新生児の)仮死」、「気管支喘息」、「クループ」、「けいれん」、「(新生児の)呼吸窮迫症候群」のこと。熱があれば、「髄膜炎」ではと、一度は疑う。乳幼児が不機嫌で高い熱が無ければ、「腸重積」ではと、一度は疑って見るべきだと思っている。
 今だと、ウイルスによる急性胃腸炎が多くて、その症状に、嘔吐、下痢、腹痛、発熱、頭痛とあるが、似た病気は多い。いろんな可能性を考えて、経過を見ることが大切と思われる。
 髄膜炎でも、頭痛と発熱と嘔吐があり、急性虫垂炎(子ども場合、診断が難しい上に、直ぐに腹膜炎になってしまう!)でも、腹痛と嘔吐と発熱があり、腸重積でも、腹痛と嘔吐がある。それ以外に、腹痛を訴える疾患に、便秘(多いが)や、腸間膜リンパ節炎や周期性嘔吐症やアレルギー性紫斑病や、反復性腹痛など、沢山ある。
 しかし、経験的に言うと、髄膜炎や腸重積の極初期では、その診断は、症状が典型的でないことが多いので、診断を誤ることがある。
 要は、親御さんと医療側が協力し合って、いい医療を目指さないといけない。又、それを行政が強く後押しする必要がある。
 田舎の病院では、産科や小児科の医師が複数いると、採算が合わなくなってしまう。かと言って、沢山来ても、医師自体が体力的にも精神的にもくたばってしまう。
 そのことは、実際に、それに携わっている関係者しか、よく分からないことかも知れませんが・・・?!