日本の心・さいき

日本の心で、世界平和の実現を!

○○校長先生へ

○○校長先生、こんにちは。
 先日、校長先生から電話を頂きましたが、改めて、インフルエンザに付いて述べたいと思います(先日の話とダブル箇所が多いかと思いますが)。
 インターネットにいろんな情報が載せられていますが、情報がいろいろと交錯していて、学校での判断に迷われる場合が多いかと思います。私の私見もありますが、以下の様に考えています。
・検査は診断の上では万能でない。
 今回の新型インフルエンザでは、感染していても、12時間以上経っていても(発熱して12時間以内では、検査しても、陰性のことが圧倒的に多いので、発熱12時間以内では、原則その検査をしません。)、検査で陽性になるケースは、6割前後(?!)でしかありません(いつもの季節性よりも感度が悪い気がしています)。つまり、陰性でも、インフルエンザにかかっていることが多々あるということです。それで、診断は、総合的に判断しています。検査で陽性だと確かなのですが、陰性だと、迷うことしばしばです。
・治療・・・原則的に、9歳までの子は、タミフル、10歳からはリレンザを処方しています。
 が、それを上げたからと言って、インフルエンザ脳症にならないと言うことは、証明されていません。(急性脳症になっているケースは、やはり、基礎疾患がなくても、その子の免疫力がそれなりに低下しているからではないでしょうか?)
 ワクチンの効果ですが、確かに、掛からない人もいますが、ワクチンでは鼻粘膜や気道の抗体IgAが上がらないので、その感染を防ぐことは出来ないが、血液中の抗体IgGが上がっているので、重症化が防げると言うことになっている様です。
 家族で新型のインフルエンザになった人がいても、同じ部屋で寝起きをしているのに、兄弟間や親子間で、一方がどうもないケースもあります。
 又、ワクチンしても、5カ月間を過ぎると、抗体価も下がって来て、かかることになります。今年は、4月や5月、季節性のワクチンを打った子どもさんが、B型のインフルエンザになって沢山来院しました。(かかれば、しっかりと同じ型に対して抗体が出来るので、最も強い感じで免疫力が付いたと言うことになります。毎年少しずつ型が変わりますが、3年近くそれなりに有効?!)
・当院の私の治療。
 幸い、今回の新型インフルエンザでは、症状が重症の子、当院では今の所ない様です。当院では、初期から漢方薬(葛根湯など)を上げているからでしょうか。又、熱で興奮してきつそうな場合も、漢方薬(黄連解毒湯などを使用、当院ではその座薬まで作っています。中国では、黄連解毒湯の点滴をしているそうですが?!)の注腸で処置しています。とてもよく効いている様で、漢方薬だけで経過を見ているケースもあります。
・予防の効果。
 「マスク」と「うがい」と「手洗い」がどこでも勧められていますが、マスクは、掛かった人が他人にうつさないのは有効ですが、うつらない様にするには、やや難しいと思っています。又、うがいは、ウイルスが咽頭の細胞に入ってしまうと、うがい程度では取れない訳で、あまり有効でない気がします。ただ、気道を潤していると、気管の線毛運動の機能が低下せずにいいので、しばしば水分補給はいいかとも思っています。インフルエンザの伝播の仕方は、主として飛沫感染ですので、手洗いは急性胃腸炎ノロウイルスロタウイルスには効果があると思いますが、インフルエンザに関しては、皆が思っているほどないのではと思っています(家で、暖房をしていれば、濡れタオルを掛けたり、水を入れた器を置いたり、加湿器をしたりすれば、それなりに湿度が上がるので、インフルエンザウイルス撃退にはいいかと思います。)。個人的には、マスクとうがいと手洗いでは、手洗いが一番効果ありかなとも思っていますが。(目にはゴーグルめいたものを使ったり、宇宙服めいたものを着て備えたり、ウイルスのいない南極に行ければ、完璧でしょうが・・・)
・インフルエンザにかかった場合。
 当たり前のことですが、しっかりと休むことです。流行を防ぐには、隔離に優るモノはありません。学校休みの期間ですが、常識的には、初めの発熱から1週間、こじれている場合は、それ以上のケースもあるかと思います。かかったかなと思えば、出来るだけ早めにサッと葛根湯を服用するのもいい方法ではと思っています(葛根湯は、気軽に、薬局でも買えます。夜だと慌てることなく、家で、小学生でも大人並みに初め多めに1包服用するといいでしょう。そして、翌朝、医療機関にかかるべきかどうか、決められるといいと思います。)。
・普段からの注意。
 やはり、免疫力を高めておくことが大切と思います。規則正しい生活をし、早寝早起きをしっかりと守り、充分に睡眠を取って、バランスのある食事(甘いモノを食べると、ビタミンが不足がちになるので、あまり摂らない。又、冷たいモノは、体を冷やして酵素の働きを抑えるので出来るだけ控える、体が温まるショウガなどを摂ったり、野菜を温めて摂る。人参や柿などのβ−カロチンを含むモノを摂ったり、キノコ類を多めに摂ったり、タンパク質をしっかり摂って、キムチなどの発酵食品も摂って、免疫力を高める。)、適度の運動をし、姿勢を正し(姿勢が悪いと免疫力が低下します、犬食いの姿勢で食べる子どもさんが多くなっていますが、姿勢をしっかりと常に正すべきです!横から見て、Cの型でなく、Sの型になる様に)、気の持ち方に気を付け(もちろん、プラス思考がいいです!ストレスを溜め込んだり、気が抜けていたり、又、緊張が急に取れてホットした時に、発病する様です。)など、常に、インフルエンザの時期は、免疫力を高めておくことが最も大切なことではないかと、私自身は思っています。
田原正英(60歳、上天草総合病院アルバイト医、今年の3月末で、一応、退職しています。)