日本の心・さいき

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還暦での挑戦(その15、比較言語学)

5月25日(月)
 ベナラビー校→ブローレン校→サウス校に行って、同じクラスだったので、前と少し変えながら再び太鼓中心に演奏した。生徒が、運動会の準備や試験の後のせいもあるのか、前よりも乗り気でない感じだった。それに、太鼓が重たい。運んでくれる生徒が気の毒だった。2回目だと、生徒も、前ほど興味がなくなっている感じだ。
 この先、どうなっているのかなあ。予定がサッパリ掴めていないのだ。今週の予定でさえも。
 (後ではっきりしたのだが、肝心の会長のウェンディーさんが、入院してしまっていた。ウェンディーさんは、自分がグラッドストーンを発つ前日に、滞在中、世話が充分に出来なくて申し訳なかった、見送りにも行けなくてもし訳ないとブリスベンから電話してくれた。)
 子どもをよく観察していると、同じパターンでは、直ぐに飽いてしまう。それで、「荒城の月」を篠笛で演奏する場合でも、1番の演奏の仕方と2番の演奏の仕方、変えないといけない。篠笛にも、太鼓にも、盆踊り太鼓にも、前と違って新鮮さが感じられなくなっているのは、確かなこと。
 再び、落ち込んでしまった。内容を根本的に変えるべきだと思った。
 バックパッカーズに、マレーシア出身の年配の女性が一人旅で宿泊していた。グラッドストーン辺りが、気候がいいと絶賛する。全て売り払ってオーストラリアに移り住んでいると言う。もう、マレーシアには、帰らないという。オーストラりア内で、寒い時は、南を避け、暑い時は、北を避け、自分の思い通りに移動している。逞しいなあ。
 
5月26日(火)
 昨日と一変して、今日はいい日だった。
 ドナさんが8:15に来て、聖ジョン校に行って、7回も演奏した。初めてのグループは、今まで通りのパターンの内容で、2回目に受ける生徒には、(世界の中の)日本と日本語に付いて話した。(2回目に受ける生徒の場合、篠笛演奏も和太鼓演奏も披露したが、話している時間の方が長かった)
 世界地図をフリーハンドで黒板に大きく書いた。小さい子には、日本がどこか指してもらった。グラッドストーンも指してもらった。生徒に、人口の大きい国の順を尋ねて行った(日本は10番目で、オーストラリアは、40番目にも入っていない)。near とか、great とか言って、それぞれの国を自分が指して、楽しく当てっこをした。面積の大きい国の順もした(オーストラりは、6番目)。これが予想外に受けた。
 又、大きい子には、比較言語学を中心にして話した。
 日本語の、シは、「si」でなくて、「shi」。チは、「ti」でなくて、「chi」。ツは、「tu」でなくて、「tsu」であることを強調した。日本語は、「ン」以外は、母音だけか、子音consonant)+母音(vowel)の組み合わせとなっている(イタリア語の様に)ことも。
 東南アジアでは、イの口をして、横に引いて「ウ」と言う発音があり、ヨーロッパでは、オの口をして、「エ」と言う発音、ウの口をして「イ」と言う発音の仕方がある。東西の中間にあるトルコでは、その3つの発音の仕方があるとなども。
 又、有声音(voice sound)と無声音(voiceless sound)の2種類しかなく、有気音や無気音の区別はない。中国語は、有気音(aspirated sound)と無気音(unasupirated sound)、韓国語は、平音、激音、濃音に。東南アジアの多くの言語では、無声音には、無気音と有気音の区別があるが、有声音には、その区別がない。具体的に、タイ語で、タイと書いて、有気音の「thai」が、有気音でなく無気音の「tai」となった場合に、どう書くかを示した。
 パンジャビー語とヒンディー語ベンガル語では、有声音、無声音、有気音、無気音ときれいに4つに分かれている。ベンガル語を例にとって、文字を書いて、それを具体的に示した。
 又、声調と言うのが、ミャンマー語には3つ、中国語とチベット語には4つ、タイ語には5つ、ベトナム語には6つもあり、日本語では、それが文字に出ていなくて、分かりにくい。ミャンマー語を例にとって、同じ「タ」でも、声調記号でどの様に変わるかを具体的に示した。
 自分の名前も、15カ国以上書いて、どの国の言葉か、尋ねたりして、自分も楽しんだ。
 自分のずっと長いことしてきた「比較言語学」がここで役に立つとは、それまで思ってもみなかった。
 ドナさんも、(生徒との間をずっと取り持ってくれて)終始ニコニコ顔で、又、日曜日に、彼女からピクニックに連れて行ってもらうことにした。