日本の心・さいき

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ある小児科医の独り言(その74)

 第102回歯科医師国家試験の発表があった。驚いた、合格率が、80.8%→74.2%→68.9%→67.5%(今年)となっている。一番成績の良かった大阪大学歯学部にしても、90.4%でしかない。この調子だと、その内、6割前後になるのかな?!歯科医の数は、内科医の数よりも多いとのことらしい。多くなると、試験を難しくして、数を調整するって政府のやり方、ちょっとじゃなくて、かなりおかしいんじゃないのかなあ。
 医師も歯科医師も、医師か歯科医師になる道が大部分。大学で6カ年間して、首尾良く国家試験に合格しても、建前上は一人前でも、実際には、まだ一人前ではない。
 自分が大学に入学した時(昭和45年)、医師合格率は、何と97.9%であった。それが、97.9%(昭和45年)→96.6%→93.8%→88.9%→82.2%→82.4%→80.4%(自分が大学を卒業して受けた昭和51年)となった。幸いなことに、その当時は、年に2回あって、秋にも国試が行われていた。
 世間では、国家試験の合格率低下の原因が、大学の医学部の質が昔よりも落ちたからだと言われて、マスコミなどに取り上げられて騒がれたが、それは、真っ赤なウソで、問題が明らかに、難しくなったのである。
 今や、医学部に入学する為には、それなりの受験勉強を強いられる。大学に入ってからも、学校の勉強とは別に、国家試験の為の勉強をしないと受からない。どの大学にも、国家試験対策委員会が出来ているのだ。そして、晴れて医師になっても、卒後研修の教育で、再び悩まされる。
 政府の方針で、コロコロと研修制度が変えられていく。ちゃんとした教育を受けてなくても、それなりに責任は取らされる。卒後1年間、バイトも出来ずに、年俸360万で、アチコチの科を回り、2年目には、救急医療の現場に立たされ様としている。
 パンドラの箱を上げてしまった結果、もう、元の姿には戻れない。地方の医療は、どんどん崩壊しつつある。今から医師を増やしても、救急病院の勤務医の数の増加は、しばらくは(恐らく、10年間は)期待できないだろう。
 どうしたらいいのか、政府は、現場の声に謙虚に耳を傾け、又、多くの国民から、今の医療の実態をちゃんと知ってもらって、出来ることから改善して行くしかない。