日本の心・さいき

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ある小児科医の独り言(16)

 100人小児科医がいたら、100人とも治し方が違っていても、不思議ではない。又、時代と共に、公に使われているマニュアル本の内容も、少しずつ書き換えられている。
 溺れた時の蘇生の方法にしても、昔と今では、教科書的にも、かなり変化している。心臓停止状態だと、「もしもしカメよ、カメさんよ・・・」って感じで頭の中で言いながら速さをよく考えて、1分間に100回の速さで心臓マッサージを(胸郭が3分の1程へこむ感じで)すれば、口から空気を入れなくてもいいんだと言う意見もあるけど。
 鼻水や咳で、鼻水止め(ペリアクチンなどの抗ヒスタミン剤)や鎮咳剤を上げても意味がないとのつい最近の日本外来小児科学会雑誌のある箇所に書かれていたが、私も、全く同感である。むしろ、悪くしているケースが多いんじゃないのかなあ?!細気管支炎で、ペリアクチン+アスベリンで、こじれている例を現に沢山診てきているけど。
 下痢止めも、細菌性の場合は、禁忌となっているが、ウイルス性の場合も、積極的に上げるべきではないと思っている。
 熱も同じで、上げて治そうとしているのに、西洋医学では、逆のことをしている。まず、濡れタオルで拭くとか、薬の前に試みるべき事、いろいろあると思うけどなあ。
 東洋医学では、葛根湯や麻黄湯や白虎加人参湯や桂枝湯や柴胡桂枝湯や小青竜湯や升麻葛根湯や小柴胡湯など、熱冷ましの薬は、その人の証に応じて沢山ある。 
 葛根湯や麻黄湯は、上げると、手足がポカポカしてくる。つまり、人間の生体反応に添って、熱を上げて汗をかかせて治そうとしている訳で、西洋医学と全く逆のことをしていることになる。西洋医学の解熱剤は、下がるべき時に来ていれば、与えると、少し早めに下がるとのことらしい。
 抗生物質も、小児ではしばしば使用されているが、乳児や2、3歳の幼児で、喉が赤くて細菌感染のことは、少ない。学童に多い溶連菌では、腎炎やリウマチ熱などの合併症が起きることがあるが、小さな子どもでは、まずない。抗生剤を与えることによって、インフルエンザ桿菌や肺炎球菌の耐性菌の問題をより深刻にしている(日本での耐性菌率は、世界一)し、腸内細菌のバランスを壊して免疫力を低下させてしまうことになる。抗生剤を使う時は、白黒付けて、抗生剤が明らかに有効と判断して、使うときには、しっかりと使うべきだと思っている。
 外来でありふれた疾患に対して、どう処方すべき、もっと議論が活発になされていいと思います。風邪は、万病の元ですし、風邪の治療を漢方ですると、かなり医療費も浮くとのデータがありますけど。