日本の心・さいき

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女性医師

 医療現場のなかでも、小児科・産科は特に人手不足が深刻である。その背景のひとつとして、離職率の高い女性医師が多いことがある。一人の女性医師が出産や育児で職をいったん離れ、それをきっかけに勤務ローテションが崩壊、診療内容を縮小せざるを得なくなる例は少なくない。また、一時的な休職のつもりが、育児との両立の難しさ・休職中の医学の進歩を学ぶ機会がないなどの理由で本格的な復帰を諦める人も多い。これは、医療の世界が長く男性社会であったための弊害だが、現実には20代の医師の35%が女性になっている。そのような中、女性医師の離職を防ぐために病院全体の勤務状況を改善し、ひいては診療の質を上げていくことにつなげる試みも始まっている。・・・(以上、6月18日のNHKクローズアップ現在より)

 20代の終わりや30代の初めは、勤務医として体力的に一番頑張れる時。最先端の医療をどんどん身に付けて行き、救急現場で経験もどんどんしていけるので、病院ではなくてはならない存在になっている。しかし、その時には、女性医師の場合、ちょうど出産や育児との両立で悩むことになる(その前の結婚で悩んでいるケースもあるが)。
 その実態に付いて、詳細に分析されてこなかったし、その対応は更に遅れてきている。厚生労働省は、医師を増やすことを決めたが、大学に入学してから彼らが実践でフルに活躍するまでには、10年も要する。待てない。その前に、育児後の女性医師をどう生かすかが問題で、それは、医師不足の折、極めて大事な問題となるはず(65歳以上の医師も、それなりに上手に使うべきだと思うが)。
 病院勤務の女性医師が、育児後に医師としてどう関わっているか、・・・ある調査では、パートに変更したのが30%、開業などに変更したのが50%で、元の病院勤務医に戻ったのは、わずか20%でしかなかった。これは、極めてゆゆしき問題である。しかも、勤務医時代にしていた当直は、出産をしてからは、わずか9%の人しかしていない。
 現在、小児科と産婦人科の医師確保で問題になる理由として、若い小児科医の半分が女性医師で、若い産婦人科医の7割が女性医師で占められているからである。お産をし、育児も経験しているそれ等の医師の方が、男性医師よりもある面では優れている所があると思われるのだが。
 育児後の病院勤務の女性医師の大半は、体力が続かない、(子どものことで休みなどをもらうと他の医師に)気兼ねしないといけない、周りに迷惑を掛けているなどと思って、深刻に悩んでいる。中には、上司から、「患者を取るのか、患者を取るのか」と詰め寄られたケースもある。一人が休むと、他の医師に今以上のしわ寄せが行く。そうでなくても、多くの救急病院の小児科や産婦人科では、激務の連続の日々だ。
 ある男性小児科医がかって私に言っていた、「前の勤務の病院、4人中に3人が女性で、育児のしわ寄せが独身の自分に全部来て、断る訳には行かず、それも、突然ってことが多くて、もう女性とタッグを組んでしたくないです」と。
 何故、こんなことが起きるのか。その理由の最大のものとして、「主治医制」の問題がある。つまり、日本の医師の大半は、自分の患者さんが悪い時、深夜でも病院に駆け付けて対応することが多い。少なくとも、携帯を持ち、連絡が付く様にしている例が大半だと思う。そんな状態では、どうしても、普段の過程生活が仕事に振り回されることになる。
 今からの医療は、医師を増やして、チーム医療にすべきである(田舎は、無理だなあ。集約化で何とかそれをしのいでいるのが現状だが)。子育て中心の人には、昼間勤務だけにして、17時になったら、拘束を一切取って上げることである。病院の主治医制を複数にして、患者側にそれを納得してもらう必要がある。当直は、開業医から協力してもらう(大阪康生年金病院では、産婦人科の当直の7割を開業医が受け持っている。それでお産も50%アップで年間700人ほどになり、更には、その病院を希望する若い先生方が増えているとか)。
 女性医師にとって、勤務する病院が、いつまでも魅力的な存在になっていることが、いい医療につながると思われる。

*写真と上の内容は、全く関係がありません。インドネシアイスラム教徒の人が、お茶を点てています(私の弟子です)。