日本の心・さいき

日本の心で、世界平和の実現を!

救えない時の虚しさ

 日本から国際緊急援助隊四川省に行って活動をしているが、残念なことに、まだ、1名も救っていない様だ。思うに、これは、時間との闘いと思う。700kmものガタガタ道での移動で、スタッフも、それだけでも大変だなあ。
 阪神淡路大震災の時、消防隊の人が行っても、何も出来なかった。その時の消防隊員の虚しさは、本人しか理解できないだろう。同じ様な感じで、この日本の救命救急隊も同じ思いをしているに違いない。医療関係者だって同じことで、もうちょっと前に来院していればこうならなかったのにと思うこともある(が、患者さんをきつく責める訳にもいかない)。
 救命率も、24時間70%、48時間30%、72時間15%と、急激に低下していく。
 ちゃんと血液が送れる力で、1分間に数回でも、心臓が打ってくれていれば、(経験的に)殆ど助かっているかな。
 ショック症状になっていても、直ぐに血圧が下がる訳でない。特に女性の場合は、なかなか血圧が下がりにくく、上が50前後でしばらく経過していることが多いかと思う。その時に、点滴をすれば、直ぐに上昇してちゃんと救える感じだが、下がり切ってしまうと、もう、可能性は極めて0に近くなる。学校でも教わっているはず、5分以上心臓が停止したら、元に戻らないと。
 子どもの場合、冷たい箇所などで代謝が落ちている関係で、心臓が止まって5分以上経っていても、助かった例などあるかと思う。確かに、子どもの場合、10(〜30)分以上心停止が予想された感じで来院しても、それなりに処置をすると、心臓が殆ど又動き出す。が、数日後に、その多くは、亡くなっていた。
 日本の場合も、救急車にドクターが常に乗って、救急車の中で処置が出来る様になると、ホントにいいと思うのだが。

 もう、30年ほど前のことだが(多少、記憶に間違いがあるかも知れないが)、ある日の夕方、(火災になって)焼け出された感じで、3歳の男児が救急車で運ばれてきた。心臓マッサージを救急隊の人がしてきていたが、手足は冷たくなっていた。完全に呼吸が停止していたが、聴診すると、心音が10秒に1回あるかないかの頻度で聴こえた。何度聞いても、間違いなく聴こえる。
 で、直ぐに点滴、でたまたま一発でショック状態のその子に(今は、もう不可能と思われるが)点滴が入った(ショック状態だと、入ったかどうかの確認も難しく、刺しても血液が逆流して来ない)。幸いに、たまたま脳外科の先生が(近くの散髪屋で散髪中で、半分切った感じなのに来てくれて、これも)挿管が一発で入った。
 脳外科の先生との2人3脚で、必死で頑張った結果、しばらくすると心臓が軽やかに動き出し、30分ぐらいすると、手足が温かくなってきた。信じられなかった。助かった。で、てっきり何か後遺症が残るだろうと思われたが、これも、不思議なことに全く起きなかった。
 その後、腸重積で、1年後に、時間外に来て、又、救命し得た。
 その母親から深々と頭を下げられて言われた言葉、「先生には、子どもを2回も救ってもらいました。」と。