日本の心・さいき

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新たなる考え方の出発

 全国アチコチ、病院から産科と小児科が消えつつある。熊本県でも、天草の中央病院の小児科、八代の八代総合病院の小児科、それに、荒尾市民病院や山鹿市立病院も、常勤の小児科医がいなくなってしまった。
 理由は、小児科医の集約化が行われているからだ。小児科だけでなく、小児科と直接に結びついている産科の場合は、もっと深刻そうだ。
 新しく小児科医になる医師の半分は女性、新しく産婦人科医になる医師の7割は、女性だ。女性の場合は、出産と育児がある。どんなに女性医師の旦那さんが頑張っても、乳児期初期の育児の授乳などの代用は物理的に不可能。
 いろんな方法が試みられている。そんな女性医師の育児施設とか、パート勤務とか、当直免除とか、・・・しかし、子どもが病気をしたり、学校の行事のことなどでどうしても休まないとけいないケースも実際に多い。
 ところで、この場合、男性医師に対しての思いやりも配慮してもらいたいものだ。男性だって、父兄参観日には行きたいし、娘のピアノの発表会にも行きたいのだ。親だから、当たり前のことを言っているだけで、間違ったことを言っているとは思いたくない。
 しかし、日本の場合は、そんな家庭の事情を言うと、上司から、「お前は、少しはやる気があるのか・・・」何て言われて、白い目で見られてきた。有給休暇だって、20日間あっても、完全に消化し切れてない、法律上堂々と取れるはずなのに。患者さんのことで時間外にしばしば呼び出されていても、それは、管理職だからと言うことで時間外手当はもらえない。患者さんの状態が悪くて、1晩泊まり込んでも、もらえない。それを請求する方が不自然と医師自身が思ってきたし、お金の請求何て、考えてみたこともなかった。
 しかし、しかしである。管理職でも、1日に5時間以上も時間外に働いていれば、裁判所から、その分払うべきだとの判例が下される時代になっているのだ。時代も変わって来ているのだ。今までが異常な考え方だったのだ。
 忙しくて責任も重い女性の医師が、育児を考慮してちゃんと働ける職場にすることなんて、基本的な権利なのだ。それが不等にないがしろにされて来たのだ。
 大きな責任を背負わされている男性医師も、今からは、バッチリ有給休暇を正当に取って、管理職でも、時間外に法外に沢山働いていれば、それなりに請求しよう。そうでなければ、仕事を拒否するか、別の職場を探そう。医師も、そんなちゃんとした(医師らしい)意志を持っていることを示そう。
 「小児科は忙しいそうですね」とよく言われてきた。しかし、それは必ずしも当たっていない。自分の場合を考えても、1人常勤医で新生児・未熟児(年間500)を抱えていた時でも、初めの3年間は、全く1人で大変だったが、それからは、応援があって、家族旅行も何度も出来た。
 19床の入院ベッドを持っての開業の時でも、援助全くなくて、平日は朝7時半から、夜も日・祝日にも小児救急をしていたが、(昼寝をよくしていて)趣味の方でも忙しかった。
 冬季は確かに、月曜など、開業の時は1日200人以上とか来て殺人的だったが、8月〜10月は、入院0が1週間も続く時もあり、暇をもてあましていた。(しかし、入院患者さんを持っていたので、家族旅行が全く出来ず、佐伯を出ることも出来なかったが・・・)
 どうしても他人に頼まないといけない時は、忙しい人に頼めとの言葉がある。人は、忙しくて苦しい時のことをよく話すが、暇な時も確かにあるのだ。
 まあ、それも程度ものもあるであろうが、土台、この時代に、一見暇そうで楽そうに見える仕事であっても、実際にしてみると、暇で楽な仕事何て、本当はないに等しいはず。
 人間は、生きていること自体が苦との考え方もあり、考古学者の吉村先生の様に、人生は大いなる暇つぶしだと言う人もいるぐらいだ。
 仕事が忙しい人は、それだけ社会に要求されている有能な人間になっていると思って自負心を持つことが出来るし、暇を持てあましている感じの人は、皆忙しく働いているのに、自分だけこんなに暇をもらって申し訳ない、今は充電期で、何かの時は、人の何倍も働こうと思えばいいかな。