日本の心・さいき

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医療の死角(去痰剤)

 去痰剤って、本当に効くのかどうか・・・。
 喘息のマニュアル本を読んでも、去痰剤に付いては、余りよく記載されていない。しかし、咳をした時に、医師から去痰剤をもらっているケースは多い。風邪を引いて、時間がないからとの理由で、薬局で買った風邪薬には、咳止めや鼻水止めや熱冷ましなど、色んな薬が一緒に入っているみたいだが・・・。
 科によって多少考え方に違いがあるかとは思いますが・・・。

 私の経験1)新生児室にいた1カ月足らずの乳児が肺炎になった(25年以上前の話)。それも、元気がないと言うことで、咳もないのに、呼吸数が多いので、レントゲンを撮ったら、肺炎だった(新生児では、元気がなくなって咳を一つでもすれば、肺炎を疑えとの大先輩の言葉があったが)。で、点滴をし、ネブライザーをし、その後、咳がどんどん出る様になって、四六時中、咳が止まらなくなった。で、ムコダインなる去痰剤を内服で使用した所、咳が劇的に軽くなった。この時、ムコダインって効くんだなあと痛感した。
 私の経験2)自分の子どもが小さい時に、深夜に咳き込んだことがあった(軽い喘息)。で、去痰剤と気管支拡張剤を処方したところ、処方したその晩から、ビタッと咳が少なくなった。で、薬が切れて、そのままにしていたら、切ったその晩に、咳が又前の様に出て来た。で、又、同じ薬を飲むと、殆どしなくなった。その時に思った、喘息では、去痰剤+気管支拡張剤って、実に効くなあと。
 私の経験3)ある病院に就職した時に、ある喘息男児(小学校低学年)の今までのぶ厚いカルテを見せられて、「この子は、風邪を引くと、必ずひどくなって入院になります。早めに入院させた方がいいので、そんな感じで診ておいて下さい」とそれまで診ていた小児科医から言われた。
 カルテを詳細に見ると、風邪を引くと必ず喘息がひどくなっていた。感染型の喘息と思われた。年に何度も入院し、それもひどい状態になっている。で、たまたま私が外来当番の時、その男児を診た。親もホトホト参っている。「先生、先生がいいと思う方法があれば、何でもして下さい」と言われた。漢方薬飲めますかとの質問に、何でも飲ませますと母親が応えてくれた。手足温かく、胃腸弱くないとのことで、(腎陰虚と考えて)六味丸を毎日と(風邪予防の)柴胡桂枝湯の2週間おき3日間連続をした。それから、何と、入院ゼロとなるばかりか、風邪を引いても軽くなり、細々とした体が、2年2カ月後には(私がその病院を退職)、実に逞しくなっていた。(親も私もビックリ)
 私の経験4)筋ジスの子で、今年高校生になる子で、しばしば、肺炎で入院していた(ひどい側彎症もあり、移動は常に車イスの状態)。で、やむなく、リカマイシンのごく少量投与毎日と柴胡桂枝湯の2週間おき3日連続を、私が主治医になってから)親と相談して始めた。その方法で、2年半以上経っているが、肺炎がなくなった。一緒に住んでいる兄弟よりも元気になって、親も私もビックリしている。

 私の頭も、還暦前になると、石頭になっていることは事実。しかし、私のいろんな経験が、次の世代のドクターの医療に少しでも参考になればと思って記載している(医療は、謙虚の立場で、患者さんの意見も素直に聴いて、自分で一例一例大切にして、確認して行くしかないのでは)。
 去痰剤として医師に成り立ての頃よく使っていたビソルボンなる去痰剤、これって、痰が多くなるだけで、却って良くない感じがしている。レフトーゼやノイチームなどの去痰剤、子どもではアレルギーが怖くて、使い難い。よく使われているムコダイン、発疹が出た子がいたが、めったになかったことなので、私は、ムコダインムコソルバンを頻回に使用している。
 去痰剤を使用したその夜は、却ってよく咳が出ることが多いので、親御さんにはそう説明している。2晩目からは、咳が軽くなることが多い。去痰剤と同時に気管支拡張剤のメプチンやホクナリンテープを処方することも多いが、メプチンだけでなく、テープでも、気分が悪くなる子が時にいる。
 小さな子どもの場合には、その多くで咳止めは無意味なことが多いと私自身は思っている(全てではないが、大半が)。直ぐに湿性の咳になること多く、咳止めで却って治りを悪くしていると思っている。
 抗ヒスタミン剤のペリアクチン+アスベリンでは、痰が粘稠になって、却って良くないと思ったいる。むしろ、乳児の喘鳴では、私自身の個人的な意見では、禁忌とまで思っているのだが。
 細気管支炎での吸入は、吸入の時間や回数など、点滴の速度と同じく、かなり細かく診てして行くべきだと思っている。経験的には、早期から清肺湯を使用すると、入院が免れる例が多いと思っている。
 時に、細気管支炎と思っていたら、クループや喘息のこともあり、又、細気管支炎から移行したり合併していることもあり、兎に角、小さければ小さい程急変することが多いので、随時、よく診ることが必要だと思っている(3カ月未満は、小児科医にしても、無意識的にかなり慎重に診ている)。
 抗生物質は、当たり前だが、ウイルスには無意味(しかし、麻疹の時には、抗生剤をしばしば使用していた。細菌感染を起こす頻度が多かったので)。強い抗生剤は、後の仕打ちが怖い。○フゾ○などは、個人的には、腸内細菌のバランスを強烈に崩すので、禁忌とさえ思っている。(やむなく抗生剤を使用した後は、殆どの例で、柴胡桂枝湯を処方している)。
 退院後に咳が止まらず、その原因が何かよく分からず、長いこと掛かって父親(時に母親や祖父)の喫煙と判明したことあり。つい最近の痛い経験では、大きな子どもの百日咳(百日咳では、熱がなく、予防接種をしていたり、大きな子どもだと、百日咳独特の咳をしないこともあり)があった。
 たかが咳と思うことなかれ。
(以上は、あくまでも、やや独断的な私の意見であり、多くの人のご批判覚悟で記載しています)