日本の心・さいき

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県立柏原病院の小児科を守る会

 来年で還暦を迎える小児科医です。医師になって30年以上、(新生児を含む)小児救急をしてきていますし、今もしています。ベッドを持って独りでしたことが、8年半の開業生活を含めて18年間あります。働き過ぎて、体を壊し、今は、田舎の総合病院で、も1人の小児科医と一緒に、勤務医をしています。産婦人科があるので、新生児も、看護学校があるので、講義も、周りに開業医が少ないので、院外の予防接種や健診も、積極的にしています。来年からは、もう、余り頑張らないと言うよりも頑張れないので、長続きが出来る様に、セーブして働くつもりでいます。

 小児科医の忙しさは、今に始まったことではありません。何故、今頃になって世間がこれまでに騒ぎ出したのか、思うに、小児科の病院常勤勤務医が絶対的に不足してきたのが、大きな要因だと思います。昔も、もちろん、足りませんでした。で、朝から晩まで、ハードスケジュールを多くの小児科の勤務医がこなしていました。そんな異常状態を止める様にと、アチコチの小児科医から改善する様にと声が上がっていたのですが、無視され続けてきました。で、真面目な小児科医が燃えついて病院を辞め、後の後任が見つからないままま、小児の救急医療だけでなく、科自体が病院から消えつつあります。数名の小児科医で救急をしていても、数が少なくなって行くと、残った小児科医にとっては加速度的に忙しくなり、その結果、やむなく集約化が行われています。しかし、例えば、集約化されて5人の小児科医で診て行くとしても、単純計算で、5日に1日としても、大変な労働です。それを多くの箇所で現実に今もなされているのです。しかし、そんなに頑張っている小児科医に対して、感謝の言葉も少なく、医療訴訟でハラハラしているのが現実です。私も訴訟を抱えて、難儀したことがあります。私の知る限り、他の科から小児科に変わったケース、極めて少ないですが、逆は、沢山見てきていますが。

 救急病院では、小児救急を積極的にすればするほど、小児の時間外患者数が多くなっていきます。しかし、忙しい割には、病院にとっては、採算が合わないのです。小児科は、忙しくて報われないとよく言われるますが、全くその通りだと思います。検査が少なくて、点数が少なくて、多くの病院で、医師1人当たりの小児科での売り上げは、(他の科では、年間1億円近く行くのに)1億円の3分の1も行かない所が多いと思います。下手をすると、赤字です。それなのに、時間外は多いし、親の訴えは深刻で、大変です。その為に、採算の合わなくて手を取る小児科の入院の7割は、公的な病院が受け持っており、残りの3割は、個人の医療機関ですが、その多くで、経営上、大変な思いをしていると思います(私も、19床の小児救急中心の開業生活をしていましたが、採算が合わずに、9年足らずでやむなく閉院しています)。

 福田首相が今頃になって子どもを扱っている施設を視察をして、大変だなんて言っていますが、これが現実の姿です。

 しかし、私は子どもが好きですし、子どもから強烈ないいパワーをもらえますし、子どもを診ることも好きです。小児の救急医療も好きだからこそ、続けられてきたと思っていますし、来年から(期間を限定して)セーブして働いても、それなりに時間外も頑張ろうと思っています。

 そんな中で、「県立柏原病院の小児科を守る会」の動きをとても期待して見守っています。全国的な動きになれば、幸いです。蔭ながら応援しています。