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小児科外来での出来事(その17)

 小児科医は、医師になったばかりの時は、まず、研修先の救急病院で、時間外の救急疾患を診て、次第に腕を上げて行くことが多いかと思います。
 私の40年以上前にお世話になった県立病院の小児科部長は、「赤ちゃんは、夜作られる。小児科医も、夜作られる。」と言われていました。
 私自身の考えでは、同じ医師がずっと一貫して診る方が、その患者さんの状態がよく把握出来、又、自分の治療の不手際もよく理解出来ていいと思ってきていますが、実際には、いつでも診療と言うのは、とてもきついですね。
 佐伯での救急病院では、丸8年半、小児科常勤医は、自分だけでした。それも、新生児・未熟児までしていて関係で、産まれた時からずっと同じカルテに自分が記載することが多く、状況がよく理解出来ていました。もちろん、症例によっては、心疾患は、宮医大に、急性疾患は、大分の県病院に、病名がはっきりしなくて重症と思われる時は、大分医大に紹介していましたが。
 で、経験的には、やはり、親御さんの一言一言がとても大切でした。
 「先生、今度の薬、美味しくないと言って、子どもが嫌がります・・・」とか、「先生、もらった薬で、発疹がでました・・・」とか、「先生、あの薬(抗生剤)を飲むと、3日までは、下痢ないけど、それ以後は、必ず起きます・・・」とか、「前の医者からもらった薬を切って、先生のに変えたら、咳が直ぐに止まりました・・・」とか、「(気管支拡張剤の)薬を飲むと、手が震えます・・・」とか、「(気管支拡張剤の)テープを貼ると、手が震えます・・・」とか(気管支拡張剤の内服薬で手が震えて、気管支拡張剤のテープで震えないケースが多いのですが、その逆も、確かに、あります!)など。
 教科書通りに治療が出来ればいいのでしょうが、実際には、薬で副作用が出たり、別の疾患が合併したりしていることも多く、医師の思い込みは、危険です。
 常に、医師は、治療する上で、頭を柔軟にしてないといけませんが、その時、家でよく見ている親御さんの一言一言が、治療する上で、とても参考になります。
 外来で、頭の大きな男の子がいて、初めは、ひょっとしたら水頭症かな何て、疑ったこともありましたが、そうでなく、元気に育ちました。しかし、頭が大きかったせいでしょうか、首の座りが遅く、親御さんも心配していました。で、次の子も、全く同じで、同じ様に頭が大きくて、やはり、首の座りが遅かったのですが、親御さん、今度は、お互いに心配せずに終わりました。