日本の心・さいき

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医師の裏側(その3)・・・

 医師になって実際に診療してみると・・・→診断名を付けるにしても、処方をするにしても、はっきりしないことが多くて、困ります。薄暗い中で、よく見えない状態で、常に仕事をしている感じにもなりますが・・・?!
 実例で具体的に説明しますと・・・→
 〇月30日に、1歳2カ月の女児が発熱が主訴で、当院小児科外来に(里帰りで、初診で)来院しました。
 26日に40度、27日に39度、28日に39度、29日に39度近く、そして、30日も、39度近くの熱があって来院しました。その間、他の医院で、(セフェム系の強い)抗生剤を処方してもらい、高熱に解熱剤もしばしば使用していましたが、あまり効果ない感じで、両親が不安になって来院していました。
 幸いなことに、熱の割に、顔つきが元気でした・・・(←子どもの見方は、機嫌・顔つき・食欲・睡眠が基本と思っていますが・・・?!)。
 「熱が4日目になると、何による熱かはっきりする必要があるので、検査の必要があります・・・」と説明した後に、いつものように、血液と尿の検査をしました。
 尿は正常でした(尿路感染症は否定されました)。血液の白血球数が13.110と多く、CRPが4.82もあり、血沈も1時間が48mmと促進していました。
 ここで、どう考えるかですが・・・→初め、高熱の割に顔つきがいいので、突発性発疹症みたいな感じに思っていたのですが(←教科書的には、3日間の高熱が続いて、まあまあ元気のいいことが多いのですが、時に、4日や5日の突発性発疹症のこともあったりして・・・)、(内服の抗生剤で効かない)細菌感染症(菌血症)かなとも思いましたが・・・(治す側として、耐性菌と考えると、困った気持ちになりましたが・・・)。
 この日の外来の検査結果を見ながら、両親に説明しました・・・「検査上、突発性発疹症ではないです。細菌感染や川崎病などのことがありますが、川崎病にしては、症状が少なく、顔つきがさほど落ち込んでいないので、合わないのですが・・・細菌感染と全く同じパターンをとる(アデノ)ウイルスがあるので、それかどうか検査して、それで、陽性と出れば、話が全て合うので、いいんですが、時にそれでも陰性のことがあって・・・」と説明して、了解を得た後に、喉に綿棒を入れて、アデノウイルスの検査(アデノチェック)をしました。
 私としては、この時、陽性になりますようにと祈る気持ちで一杯でした。(←アデノと思っても、陰性のこともしばしばありますが・・・しかも、この子の場合、喉に白苔が全くなくて、ちょっと喉が赤い程度でしたが・・・)。
 1分も経たずに、次第に2本の線が出て来たのを見て、ヤッターって気持ちになりました。親に(自信を持って、アデノウイルス感染症と)説明した後(アデノでは、鼻水と咳があることが多いのですが、この子の場合、咳が全くありませんでしたが・・・)、さて、次の肝心の治療となるのですが・・・
 →急性のウイルス感染症で、直ぐに効く特効薬の薬があるのは、ヘルペスとインフルエンザしかなく(←それも、出来るだけ早期に!)、アデノは、ありません・・・(←子どもの感染症では、ウイルスが9割近くを占め、その殆どは、西洋医学では、症状を取るだけの対症療法となりますが・・・ホント、治す側としては、いい方法がないので、困っていますが・・・)。
 ・・・で、私なりに治すしかなく・・・それまで使用していた西洋医学の抗生剤と解熱剤は中止してもらって、漢方薬を使いました。
 初めに診察した先生は、喉が赤いのを見て、細菌感染を疑って抗生剤と(扁桃炎では高熱になるので)解熱剤を処方したと思われますが(稀にアデノウイルスに細菌感染が合併していることもある訳で・・・)・・・何が良かったかどうか、結果論で、後にならないと分からないことが多いですね。
 アデノウイルスの喉の所見も、口蓋扁桃に白苔があるのから、ちょっと赤いだけのことまでいろいろあり、(インフルエンザの検査以上に)検査で陰性のことがしばしばあり、難儀しています・・・(←それでも、昔よりも、診断率が数段上がっていますが・・・!)。
 その後の経過ですが、翌日(1日)には、嘘の様に熱が下がって(←もう、熱が下がる時期だったのかも知れませんが・・・?!)、両親喜んで郷里に帰られました。(典型的な熱証だったので、黄連解毒湯を注腸し、(当院で作成した)その座薬を1回、自宅で使用しただけでしたが・・・←中国では、この点滴まで出来ていて、治療のないウイルス感染症でしばしば用いているそうですが・・・?!)

*日本で解熱剤として使用されているアセトアミノフェンの添付文書には、「小児等への投与・・・・低出生体重児、新生児及び3ヵ月未満の乳児に対する使用経験が少なく、安全性は確立していない」と記載されていますが・・・。
 
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