日本の心・さいき

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ある小児科医の独り言(その23)

 卒後教育としての今のスーパーローテート制度2年間が、1年に短縮されるとのこと(内科6カ月以上、救急3カ月以上、地域医療1カ月必修)。何か、現場の意見を聞かずに、コロコロと変わってしまう感じで、正に今の麻生内閣の縮図の様な気がしてならない。
 いろいろ厚生労働省がいじくればいじくる程、現場はどんどん混乱状態に陥っている感じだ。何で、現場の人の意見を素直に聞こうとしないのだろうか?
 まず、国は、お金を出さない。ボランティアみたいな格好で、指導医が(何の前触れもなく)半強制的に決まって、さあ、教えろって感じになっている。そうでなくても、今、勤務医の仕事は増え続けているのだ。一度、厚生労働省の医務官がしてみるといい。コンピューターのキーを何度押し、又、入院した時に、手続きでいかに大変かを。
 スタッフが絶対的に少ないのだ。法律上は、有給休暇を取れるはずなのに、医療が出来なくなるので、休みが取れないのだ。
 医師を増やそうとして今からやっきになっても、その医師が一人前になるには10年も掛かるし、ちゃんと過不足な数になるには、その倍以上掛かるはず。
 まずは、今、具体的に出来ることをするしかない。それは、現場の意見を尊重して、実行すると言うこと。それぞれの病院の都合を鑑み、又、個々のドクターの意思も尊重して、柔軟に対応できる制度に変えるべきだ。又、国が出来ることは、早急にすることだ。例えば、医療訴訟の問題一つ取っても、個人では出来ないことで、それを恐れてその科を敬遠するドクターは、現に沢山いるのだから。(医療事故で自己責任って感じであれば、危険な科を選ぶ人が少なくなるのは、当たり前だ!!)
 教育がちゃんとそれなりにされていれば、研修医は満足してくれると思う。
 医師不足と初期研修の問題は、別の次元だ。初期研修を短縮して医師不足を解消しようなんて、どこからそんな発想が生まれてくるのかなあ。ああ、そうか、現場を知らない人達が考えるから、そうなるんだなあ。安い労働力でこき使おうとしていると思われても仕方ないんじゃないのかなあ。
 へき地で頑張っているドクターの意見、産科や小児科や救急で頑張っている勤務医の意見、何故、真っ先に出てこないのかなあ。
 大学にもいろんな大学があるはず。昔、医局員が多くて、卒後、主治医の受け持ちが2名で、1年間にわずが20名足らずしか受け持つことが出来ずに、薄給を埋める為に、バイトに精を出していた例もあったかな。卒後研修として、立派に機能を果たしている大学も、現に今あるのだ。
 今から医療を背負って行く若いドクター達の心情を思うと、可哀相でならない。