日本の心・さいき

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道具を使うサル

(平成20年7月27日(土)のNHKスペシャル「南米の驚異、道具を使うサル」より)
 2004年12月、世界を驚かせるニュースが発表された。ブラジル北東部に広がる乾燥地帯で、石を道具として使うサルが発見されたと言うのだ。石を道具として使うのは人間とチンパンジーだけと考えられていたサルの常識を覆す「世紀の大発見」である。
 その主人公は、頭が良いことで知られているフサオマキザル。南米で最も広い範囲に分布する体重3キロほどの小さなサルで多くはアマゾンなどの熱帯雨林で暮らし、果物を主食にしている。道具を使う行動が発見された乾燥した森は、木がまばらで熱帯雨林ほど果物が実らない。そこでサル達が目をつけたのが地面に生えるヤシの実だ。しかし、このヤシの実は、堅い殻に覆われていて、そのままでは食べることが出来ない。
 フサオマキザルは持ち前の知恵を働かせ、石を道具として使いヤシの実を割る行動を進化させたのだ。石の重さは1キロ程。2本足で立ち上がり、自分の体重の3分の1もある石を使って実を割る姿は、まるで私たち人間の祖先が行っていた活動を、現代に再現させている様にも見える。

 サルとチンパンジーが分岐したのは、3.500万年前、そして、そのチンパンジーから人間が分岐したのは、700万年前。知っての通り、チンパンジーの頭の良さは、生まれてから人間を抜いている。小さい子をチンパンジーと一緒に育てると、小さい子がそのチンパンジーをお手本にして育つとのこと。
 普通のサルが、自分の半分以上の石を持って、クルミの20倍以上の硬さのヤシの実を割るなんて、この20世紀まではとても想像できなかったこと。四つんばいのサルが、二本足で立ったまま、大きな石を上からヤシの実に命中させて振り落とさないといけない。考えるに、これは極めて高度の技だ。
 そもそも、ヤシの実を石で割る為には、3つの要素がある。「石」と「台」と「ヤシの実」だ。その石を遠くから運んでいるし、各サルがそそれぞれ違った好みの石で(ボスを先頭に)順番に割っている。台も、決められた(7つの)台でだ。その格好も、それぞれで、長い尻尾を周りの枝に巻き付けてバランスを取って打っているサルや、助走を付けて打っているサルや、打つ前に2回ヤシの実を叩いて打つサルなど、個性的だ。
 更に面白いと思ったのは、決して、母親と言えども、自分の子どもに餌をやろうとしないことだ。子どもは、親の姿を見て、盗み見して、生きる手段を覚えるしかない。自分なりに試行錯誤しながら覚えている。初めの動作は、ぎこちないものだ。何度失敗してもめげずに挑戦して、目出度く、ヤシの実を美味しく食べている。それが出来ないと、ヤシの実より小さな柔らかに実しか食べられないし、ヤシの実のおこぼれを拾って食べるしかないのだ。
 昔、学校で、人がサルと違うのは、二本足で歩けること、道具を使うこと何て教わっていた。しかし、日本サルでも、訓練すれば、二本足で歩ける様になっている。背骨がS状に曲がる様になるのだ(サルの脳も人間と同じで、継続は力なりなのだ!)。美味しいものを食べたいと言う欲求が、進化をもたらすのだなあ。
 この番組を見て、生き物の限りない可能性を認めざるを得ない。しかし、人間の場合は、あまりにも脳が発達し過ぎて、快楽を求めすぎての結果、自然を破壊し、後戻りできない状態になろうとしているが・・・?!