日本の心・さいき

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子どものアレルギー・・・

 小児科では、何らかのアレルギーを持った子どもさんが沢山来ます。アレルギー患者さんがこれ程までに多くなった理由は、一体、何なのでしょうか?
 アレルギーを持っている場合、どうしたらいいのでしょうか?その予防はどうしたらいいのでしょうか?・・・→親御さんからそんな質問を受けると、肝心の小児科医も、頭を抱え抱え込んでしまいます。
 そう言う私も、今まで、アレルギーの子どもさんを沢山診て、開業時も、(気管支喘息や細気管支炎などで)入院させてきているのですが・・・。
 アレルギーには、精神的なものも、かなり影響を与えているのではと思っているのですが・・・?!(しばしば入院していた子どもさんが、私がいなくなって、発作回数が少なくなっている・・・?!母親がイライラしていると、子どもの喘息発作による来院数が多くなる・・・?!)
 かって、ドイツは、東西に分かれていましたが・・・合併する前は、(家にゴミやダニが少なくて、生活水準の高い)西ドイツの方が、アレルギー患者さんは少ないに違いないと思われていました。しかし、実際は、全く、逆だったんですね。
 子どもがピーナツを口にして、時にアナフィラキシーショックになることは有名で、欧米では、かなり深刻な問題となっていますが・・・それに関する確かなデータ(エビデンス)として、イギリスとイスラエルで行われた次の調査があります。
 ピーナツを小さい時から与えている(イスラエルに住んでいるユダヤ人の)子どもと、ピーナツ・アレルギーを恐れて、少し大きくなってから与える様にしている(イギリスに住んでいるユダヤ人の)子どもでは、どちらがピーナツ・アレルギーの頻度が多いと思いますか?
 結果は、イスラエルに住むユダヤ人の子どもが0.17%で、イギリスに住むユダヤ人の子どもが1.85%と、10倍もの差があったのです!つまり、小さい時からピーナツを与えた方が少なかったのです。(・・・←乳幼児期の小さい時に、ピーナツをそのまま与えることは、気管支異物となって、禁忌となっています!)
 となると、抗原を避けて来た今までの治し方は、間違っていたのでしょうか?・・・→アメリカの小児科学会では、2000年にアレルギーを起こしやすい体質の場合は、ピーナッツや魚を食べさせるのを3歳まで待てばアレルギーにはならないと考えましたが、2008年には、これには科学的根拠が見出せないとのことで撤回していますが・・・。
 戦後、寄生虫の疾患がなくなり、食事の種類が変わって、アレルギーがどっと多くなっています。原因が、遺伝と環境が原因と考えると、遺伝が直ぐに変化することは考えにくいので、やはり、「大きな環境の変化」と考えられます。
 昔は、「卵」何て、それこそ高級品でした。「牛乳」が毎日飲める何て、贅沢過ぎるって感じでした。又、美味しいパンも、珍しかった時代でした。今や、アレルギーの原因として、乳幼児に多いのに、卵、牛乳、小麦とありますが・・・。
 最近、「皮膚を通して食物アレルギーが始まる」のではとの考えが台頭してきています。つまり、アレルギーがあるから「皮膚のバリア機能」が侵されるのではなくて(乾燥肌やアトピー性皮膚炎になるのではなくて)、バリア機能がやられていて、そこから入ったものが異物とみなされて、抗原となるとの考えです。
 口から入っていれば、抗原にならないのではとの考えです。既に、皮膚から抗原として入っていれば、それに対する抗体が出来上がっているので、その後、口から摂ると、アレルギー症状が出てしまうことになります。
 「減感作量法」と言って、昔から、医師の元に抗原を少しずつ体に入れて、慣らしていく方法があります。
 気管支喘息の子どもの場合、初め顔に湿疹、次に、上肢の皮膚に、更に、下肢の皮膚に、その内、鼻閉が起こり、とうとう喘鳴が起きて、気管支喘息になっている例を沢山診てきています。
 裏返して考えると・・・→初め、顔を床にくっつける為に顔の傷から湿疹が出来て、次に、手をしきりに動かす様になって、上肢に同じ様な湿疹が出来て、その後、足を動かしてアチコチ歩いて行く様になって、下肢に湿疹が出来て・・・→その湿疹がアレルギーの前兆(乾燥肌やアトピー性皮膚炎)だったのでしょうか?!(それに、昔は、乳児の気管支喘息、極めてマレでしたが・・・今は、多いですね・・・。しかし、今は、幸いなことに、ステロイド吸入などの普段からの治療法で、喘息重積発作で入院する子どもさんは、確実に少なくなっていますが・・・。私自身は、乳児への予防的ステロイド吸入は、あまり効かない感じがして、今まで、してきていませんが・・・)
 スキンケアの大切さを外来で昔から説明してはいましたが・・・それが今は、直接の原因(スキンケアをしなかったことでアレルギーになる?!)として疑われているのですね・・・?!!